先日、年商15億円規模の不動産オーナーからこんな相談を受けました。「毎年4〜5千万円の所得税を払っているんだけど、もう少し手取りを増やせないか」と。
物件を3棟持ち、家賃収入は安定している。それでも個人の所得税・住民税の合算税率が50%を超えてしまっている状態でした。これは決して珍しいケースではありません。
不動産収益が積み上がるほど、「法人をどう活用するか」という設計が節税の核心になってきます。今日は、節税効果の大きい順にランキングで整理してみます。
3位:不動産管理法人で所得を分散する
法人活用の入口として、まず多くの方が検討するのが不動産管理法人の設立です。
個人が所有する物件の管理業務を法人に委託し、管理料を支払うことで個人の所得を圧縮します。税務上の目安は家賃収入の5〜10%程度。年間家賃収入が3,000万円なら、150〜300万円を法人側に移すことができます。
法人に移った資金は、役員報酬や福利厚生として計画的に使えます。法人税率は個人の最高税率より低いため、全体の税負担が着実に下がります。
ただし管理料が10%を超えると、税務署から「実態がない」と判断されるリスクが高まります。管理業務を法人できちんと行っているという実態を作ることが大前提です。
2位:資産管理法人で物件そのものを保有する
さらに踏み込むと、法人自体が不動産を保有するスキームが見えてきます。
個人で保有した場合、所得税・住民税の最高合算税率は55%です。一方、法人の実効税率は課税所得800万円超でおよそ34%。この約20ポイントの差が、節税の源泉になります。
法人で物件を持てば、賃料収入はそのまま法人の所得になります。そこから役員報酬として少しずつ取り出したり、将来まとまった退職金として受け取ったりすることで、個人の課税所得をコントロールできます。
退職金は在職年数に応じた退職所得控除が大きく、長期的に見ると大きなメリットがあります。事業承継や相続対策としても機能するのが、このスキームの魅力です。
1位:持株会社×不動産SPC二層構造
年1億円規模の節税を本気で狙うなら、持株会社と不動産SPCを組み合わせた二層構造の設計が最も効果を発揮します。
複数の不動産を物件ごとに別々のSPC(特定目的会社)として切り出し、それらを持株会社が統括する形です。一見複雑に見えますが、この構造には明確な理由があります。
まず、借入リスクを物件単位で分離できます。ある物件が不振でも、他の物件や持株会社全体への影響を遮断できるのです。次に、各SPCで退職金を別々に設計することで、複数の非課税枠を活用できます。さらに相続の場面では、各SPCの株式を分けて承継することで、相続税の評価額を圧縮しやすくなります。
この構造を活用している資産家の中には、合法的に年間1億円以上の節税を実現しているケースもあります。ただし設計の複雑さゆえに、税理士・司法書士、場合によっては弁護士も交えた緻密なプランニングが欠かせません。
不動産法人の活用は、「管理料を法人に払う」という入口から、「持株会社×SPC」という高度な構造まで、自分の規模に合わせて段階的に設計できます。
まだ法人を一つも持っていない方は、不動産管理法人から検討してみてください。すでに法人を持っている方は、物件保有主体の見直しや二層構造への移行を税理士と相談してみる価値があります。
節税は、一度作った仕組みを毎年積み上げていくものです。早く動き始めるほど、その効果は大きくなります。今期の決算が終わる前に、一度プロと話してみることをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。