先日、都内で精密機器の製造業を営む社長からこんな相談を受けました。

「今期、たまたま大型の受注が重なって利益が4億円近く出そうなんです。決算まであと2ヶ月しかないのに、何か手を打てませんか?」

こういう「スポットで利益が膨らんだ年」に名前が挙がるのが、リースを使った節税スキームです。ただ、一口に「リース節税」といっても、選ぶ商品によって効果は数千万円単位で変わってきます。今日はそのあたりを正直にお話しします。

損金をうまく使うのがリース節税の本質

オペレーティングリースの節税スキームは、リース物件の購入費用を損金として計上することで課税所得を圧縮する仕組みです。

特に初年度の損金算入額が大きいのが特徴で、投資した金額のうち高い割合を一気に経費として落とせます。ただし、これは「税を消す」のではなく「税を先送りする」スキームです。リース期間が終わって資産を売却すると、そのタイミングで益金が発生します。

だからこそ、「どの年に節税するか」「どの商品を選ぶか」の判断が、最終的な手取りに大きく響いてくるんです。

航空機リース:一気に節税したい年の切り札

航空機リースは、文字通り旅客機や貨物機をリース会社経由で保有する仕組みです。最低投資額は1口5,000万円〜1億円以上が相場で、決して安い買い物ではありません。

ただ、その分だけ初年度の損金算入効果は大きく、投資額の80〜90%程度を初年度に損金として落とせるケースもあります。仮に1億円を投資して85%が損金になれば、8,500万円が今期の課税所得から消えていくわけです。実効税率が35%前後の会社なら、それだけで約3,000万円近い節税効果が生まれる計算になります。

ただし、航空機リースにはそれなりのリスクもあります。航空会社の経営状況や航空需要の変化に収益が左右されますし、為替の影響も受けます。出口での売却価格が想定を下回るケースもゼロではありません。

向いているのは、「今期だけ突出して利益が大きい」会社です。利益が3〜5億円以上出る見込みがある年に、まとめて損金を作りたいときに力を発揮します。

コンテナリース:毎期コツコツ節税したい会社に

一方のコンテナリースは、海上輸送に使われるコンテナを保有してリース収益を得るスキームです。1口1,000万円台から参加できるものも多く、航空機に比べてエントリーラインが低いのが特徴です。

複数口に分散して投資することもしやすく、リスクを分けながら組み合わせられる点は経営者にとって使い勝手がいいと思います。また、航空機リースに比べて出口までの収益が比較的安定しやすいとされています。コンテナは世界中の海運で常に需要があり、特定の航空会社の業績に左右されにくい構造があるからです。

初年度の損金算入割合は航空機ほど高くはないものの、毎期コンスタントに利益が出る会社が「少しずつ課税を平準化していく」目的で使うには、むしろこちらの方が向いています。

結局、どちらを選ぶかは「利益のタイミング」で決まる

航空機リースとコンテナリース、どちらが優れているかという話ではありません。自社の利益の出方に合わせて選ぶことが、節税効果を最大化する唯一のコツです。

シンプルに整理するとこうなります。

  • 今期だけ利益が突出して大きい → 航空機リースで一気に損金を作る
  • 毎期安定して利益が出ている → コンテナリースで少しずつ平準化する
  • 投資金額を抑えて試してみたい → コンテナリースから始めるのが現実的

先ほどの社長には、今期の利益規模と来期以降の見通しを聞いたうえで、航空機リースを軸に検討することをすすめました。ただし「必ず専門家に確認してから契約を」とも強調しました。

契約前に確認しておきたいこと

リース節税スキームは商品の設計が複雑で、契約内容によって節税効果や出口のリスクがかなり変わります。特に国際税務の観点が絡んでくるため、通常の顧問税理士ではなく、オペレーティングリースや国際税務に精通した税理士のセカンドオピニオンを取ることを強くおすすめします。

「紹介された商品だから大丈夫」と思って契約したものの、出口での課税が想定外に大きかったというケースも実際にあります。節税の手取り効果を正確に試算してもらったうえで判断してください。

今期の利益が大きくなりそうな社長は、決算の2〜3ヶ月前には動き始めるのが理想です。契約から損金計上まで時間がかかる商品もあるので、「まだ先の話」と思っているうちに手遅れになるケースも少なくありません。早めに専門家に相談して、選択肢を確認しておくことをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。