先日、年商10億規模の建設会社の社長から、こんな相談を受けました。
「今期、思った以上に利益が出てしまって。オペレーティングリースを検討しているんですが、航空機とコンテナ、どっちがいいんでしょうか?」
この質問、実はとても本質的です。どちらも大きな損金を作れる節税スキームですが、性質がまったく異なります。「とりあえず航空機」と飛びついて、後で資金繰りに苦しむ社長を何人も見てきました。選び方を間違えると、節税どころか経営の足かせになりかねません。
航空機リースは「億単位の利益を一気に圧縮したいとき」の選択肢
航空機リースの最大の特徴は、損金の規模感です。最低出資額は1億円からで、耐用年数は5〜7年。出資額の80〜90%を損金として算入できるため、たとえば1億円を出資すれば、8,000万〜9,000万円が損金になる計算です。
「今期2億円の利益が出そうだ」という場合、これほど一気に圧縮できる手段は他にそうありません。節税インパクトという点では、オペレーティングリースの中でもトップクラスです。
ただし、注意点も明確です。途中解約は原則不可で、資金は5〜7年拘束されます。1億円以上のキャッシュを長期間固定することになるため、「手元資金に余裕がある」「この先数年、大きな設備投資の予定がない」という状況でなければ向きません。
コンテナリースは「3,000万〜1億円規模の利益に分散投資したいとき」
一方、コンテナリースは1口1,000万円から参入できます。運用期間も3〜5年と比較的短く、資金拘束の負担が軽いのが特徴です。
今期の利益が3,000万〜1億円台の社長には、こちらの方が使い勝手がよいケースが多いです。たとえば「3,000万円の利益に対して1,000万円ずつ3口」という形で分散できるため、一度に大きな資金を出さずに済みます。
航空機リースと比べると1口あたりの損金インパクトは小さいですが、柔軟性という点では優れています。「毎年コンスタントに2,000〜3,000万円の利益が出る」という会社が、数年かけて積み上げていく使い方にも向いています。
結局、選ぶ基準はこの2点だけ
複雑に見えますが、判断の軸はシンプルです。
ひとつ目は「今期の利益規模」。1億円を超えるなら航空機リースも視野に入ります。3,000万〜1億円台ならコンテナリースの方が現実的です。
ふたつ目は「資金を何年拘束できるか」。5〜7年固定できる余裕があるなら航空機。3〜5年の方が安心なら、コンテナを選ぶ。それだけです。
よくある失敗は、「節税効果が大きいから」という理由だけで航空機リースを選び、数年後の借入返済や事業拡大のタイミングで現金が足りなくなるケースです。節税は手段であって、目的ではありません。キャッシュフローを壊してまで節税する意味はありません。
「スキームの存続リスク」にも目を向けておく
もうひとつ、見落とされがちな点をお伝えしておきます。オペレーティングリースは税制上の優遇を活用したスキームである性質上、将来的な税制改正の影響を受ける可能性があります。
過去にも、節税スキームが税制改正で封じられた例は少なくありません。「今は有効でも、数年後はどうなるかわからない」という視点を持ちつつ、スキームに過度に依存しない利益体質を作ることも経営者の大切な仕事です。
具体的なスキームの内容や契約条件は商品によって異なります。検討する際は、必ず信頼できる税理士や専門家に内容を確認してから判断してください。「いい話だから早く決めないと」という営業トークには、一度立ち止まる習慣をつけておくことをおすすめします。
決算が近い社長ほど焦りがちですが、焦って選んだ節税策が後悔の種になることも多い。今期の利益規模と資金の余裕を冷静に確認した上で、自分に合ったスキームを選んでください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。