先日、年商10億円超の製造業の社長から、こんな相談を受けました。
「毎年かなりの額を法人保険に入れているんですが、うちの設計って本当に正しいんですかね?正直、担当の保険営業にすすめられるまま入ってしまっていて…」
保険料を年間5,000万円以上支払えるような規模の会社になると、この手の悩みは珍しくありません。節税効果があると聞いて入ったはいいものの、「本当にこれが最適解なのか」という確信を持てていない社長は、意外に多いものです。
そこで今回は、節税効果と安全性を両方の軸で評価した場合の、大型法人保険ランキングTOP3を整理してみます。
第3位:全額損金型・掛け捨て定期保険
シンプルさでいえば、これが最もわかりやすい選択肢です。
解約返戻率が50%以下に設計された掛け捨て型の定期保険は、保険料の全額を損金算入できます。仮に年間保険料が5,000万円なら、法人税率34%の計算で節税効果はおよそ1,700万円。この数字は、かなり魅力的です。
ただし、掛け捨てという名のとおり、解約しても返戻金はほぼゼロです。「節税したいが出口でお金を回収したい」という社長には向きません。一方で、税務上の取り扱いが明確で、税務リスクが最も低いという点は大きな安心材料になります。
「まずは確実な節税を取りたい」「複雑な設計は避けたい」という会社にとっては、十分に検討に値する選択肢です。
第2位:ハーフタックス養老保険
節税効果と将来の資産形成を両立させたいなら、この設計が候補に上がります。
養老保険のいわゆる「ハーフタックス」とは、従業員全員を対象に養老保険に加入し、保険料の半分(50%)を福利厚生費として損金に算入できる仕組みです。年間5,000万円の保険料なら節税効果は約850万円と第3位の半分になりますが、残りの50%は資産として積み上がっていきます。
最大のメリットは、満期返戻金を退職金の原資にできること。節税しながら退職金を積み立てていくイメージです。経営者自身ではなく従業員の福利厚生としても機能するため、優秀な人材の定着にも一役買います。
「節税と将来の退職金準備を同時に進めたい」という中堅〜大手規模の会社に特に向いている、バランス型の設計です。
第1位:全額損金型定期保険×退職金出口設計
節税効果・安全性・出口まで含めた総合評価で、これが1位です。
仕組み自体は第3位と同じく全額損金型の定期保険ですが、ポイントは「解約のタイミング」にあります。役員の退職が予定される年度に合わせて保険を解約することで、法人が受け取る解約返戻金と、退職金として社外に出ていく費用が同じ年度に発生します。結果として、解約返戻益による課税の多くを退職金の損金で相殺できる——これが出口設計の核心です。
年間5,000万円の保険料なら節税効果は約1,700万円、さらに解約〜退職金支払いを一体設計することで、積み上げた資産を効率的に外に出すことができます。
ただし、一点だけ強調しておきたいことがあります。保険会社の財務健全性は必ず確認してください。保険期間が10〜20年に及ぶことも珍しくないため、その間に保険会社の経営が傾いては元も子もありません。ソルベンシー・マージン比率が200%以上の財務健全な大手・中堅生保を選ぶのが基本中の基本です。
どの設計が「正解」かは、会社の状況次第
3つの設計を並べてみると、どれが最適かは会社の財務状況、役員の退職スケジュール、節税より資産形成に重きを置くかどうかで変わってきます。
「節税効果の最大化だけ追う」なら1位か3位、「従業員の福利厚生も兼ねて長期で積み立てたい」なら2位が向いています。これらを組み合わせて使う会社も少なくありません。
一つ言えるのは、「担当者にすすめられたから」という理由だけで大きな保険料を払い続けるのは、少し危ういということです。法人保険は出口設計まで含めて、初めて「戦略」になります。
決算の3〜6ヶ月前に、一度、顧問税理士と保険設計を棚卸しする時間を作ってみてください。それだけで、年間の税負担が数百万単位で変わることもあります。今入っている保険の設計書と、この記事を並べて確認してみるところから始めてみてはどうでしょうか。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。