先日、年商12億の建設会社の社長からこんな相談を受けました。「今期、想定以上に利益が出てしまって。決算まで3ヶ月しかないのに、何か手がありますか?」
そういうとき、私が必ず確認する選択肢のひとつがオペレーティングリースです。略してOLリース。億単位の損金をつくれる仕組みとして、年商10億を超える経営者の間で静かに使われ続けています。
1億円出資で8,500万円が経費になる理由
OLリースは、航空機・船舶・コンテナといった大型資産を複数の法人が共同出資して取得し、航空会社や海運会社に貸し出す仕組みです。
ポイントは、このリース資産を「減価償却」ではなく「リース費用」として処理できる点。初年度に出資額の最大85%を損金に算入できます。つまり、1億円を出資した場合、最大8,500万円が当期の経費として落とせるということです。
法人実効税率を約33%で計算すると、約2,800万円の税負担を今期から先送りできる計算になります。これが年商10億超の社長が検討する大型節税の核心です。
税理士が積極的に勧めにくい理由
ここで正直に言っておきたいことがあります。OLリースは「節税」と呼ばれますが、正確には課税の繰延です。
リース期間(通常5〜8年)が終了すると、使い込まれたリース資産が売却され、その益金が法人所得として計上されます。今期の税負担を減らした分が、将来の益金として必ず戻ってきます。
良心的な税理士ほど、出口まで見通せないクライアントには黙って見ている、というのが実態です。「今の税金を減らしてあげた」と言えても、「将来の益金は想定外でした」では信頼を損ねますから。
活用できるのは「出口が描ける社長」だけ
OLリースが本当に機能するのは、5〜8年後に大きな損金計上手段がある場合に限ります。退職金の支給予定、大型設備の更新、事業承継による株価引き下げ——そういった「将来の出口」が具体的に見えていることが前提条件です。
逆に、「今だけ税金を減らせればいい」という発想で入ると、運用終了時に益金が一気に発生して、かえって苦しくなります。
出口戦略の3パターン
実際によく使われる組み合わせを紹介します。
退職金と重ねる オーナー社長が60〜65歳で退職金を支給する予定があるなら、OLリースの運用終了タイミングを合わせることで、退職金という大きな損金で益金を吸収できます。
設備投資と連動させる 工場の建替えや大型機械の導入が5〜7年後に控えているなら、その減価償却費の山とリース益金の発生を同年度に重ねる設計が可能です。
事業承継の前段として使う 後継者への株式移転前に利益を圧縮し、株価を引き下げる目的で使うケースもあります。ただしこの用途は税務当局の目が厳しく、計画的な実行が必要です。
参加のタイミングと最低出資額
OLリースへの参加には、通常最低3,000万〜1億円程度の出資が必要です。少額化した商品もありますが、損金算入率や組成コストの面で劣ることが多く、本格活用なら5,000万円以上の利益が出る決算期を狙うのが現実的です。
また、商品の募集は年に数回しかなく、決算まで時間がないと間に合わないこともあります。「決算の半年前から動き始める」くらいの準備が理想です。
今期の利益が2,000万円を超えていて、かつ5〜8年後に大きな損金計上の見通しがあるなら、OLリースは十分に検討する価値があります。まず「出口が描けるか」を顧問税理士と確認することから始めてみてください。可能性を探るだけでも、動く価値はあるはずです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。