先日、年商30億円の食品製造業を経営する社長から、こんな話を聞きました。「毎年1,000万近い固定資産税を払っているんだが、これって本当に正しい金額なのか?」と。調べてみると、工場の機械設備に対する評価額の計算に明らかなミスがあり、最終的に過去5年分で約800万円の還付を受けることができました。
このケース、実は珍しくありません。
固定資産税の評価額は「間違っている」ことがある
固定資産税は市区町村が評価額を計算して税額を決定します。でも、その計算、本当に正しいと思いますか?
実は、評価額の計算には設備の減価算定のミスや床面積の誤りがつきものです。特に大型の工場、倉庫、商業施設を持つ法人では、こういった「計算のズレ」が高い確率で潜んでいます。
市区町村の担当者は膨大な件数を処理しています。専門性の差や情報の非対称性から、評価額が過大になっていてもそのまま通ってしまうケースが後を絶たないのが現状です。
どんなミスが過払いを生むのか
よくある原因を挙げると、こんなものがあります。
- 機械設備の耐用年数の誤り:本来より耐用年数が長く設定され、減価が十分に反映されていない
- 床面積の計算ミス:増改築後の図面が更新されていない、倉庫の一部が二重計上されている
- 資産の誤分類:課税対象にならない設備が課税対象に含まれている
これらは「ごまかし」でも「節税テクニック」でもありません。評価する側のミスを正してもらうだけです。それは納税者として当然の権利です。
5年以内なら遡って取り戻せる
ここが最大のポイントです。
地方税法の規定により、過払いになった固定資産税は5年以内の分なら遡って還付請求できます。つまり、今年気づけば2021年分まで戻ってくる可能性があるわけです。
年間100万円の過払いがあったとして、5年遡れば500万円。実際に数百万〜数千万円単位の還付を受けた法人の事例は、税務の現場では決して珍しくありません。
重要なのは「気づいた時点ですぐ動く」こと。毎年過払いが積み上がっていく中で、時効によって取り戻せる期間はどんどん短くなっていきます。
評価替えは2027年。それまでに動くべき理由
固定資産税の評価額は3年ごとに「評価替え」が行われます。次の評価替えは2027年です。
「じゃあ2027年を待てばいいんじゃないか」と思う方もいるかもしれません。でも、それは大きな誤解です。
評価替えで評価額が自動的に下がる保証はありませんし、現在の評価額に問題がある場合、同じミスが次の評価替えにも引き継がれる可能性があります。そして何より、2024年・2025年・2026年分の過払いは、今動かないと遡及できる権利を少しずつ失っていきます。
今すぐ現行の評価額を確認することが、最も確実な対策です。
まず自社でできる初期チェック
専門家に依頼する前に、手元でできることがあります。市区町村から届いている固定資産税の課税明細書を引っ張り出してみてください。
チェックすべきポイントは3つです。
- 除却済みの設備や取り壊した建物が課税対象に残っていないか
- 増築・改装後の面積変更が正しく反映されているか
- 機械設備の種類と評価額が実態と合っているか
これらに一つでも引っかかる点があれば、専門家にチェックしてもらう価値があります。
専門家への相談が最短ルート
固定資産税の評価額を精査するには、固定資産評価に精通した税理士への相談が最も確実です。一般的な税理士でも法人税や消費税は対応できますが、固定資産税の評価額チェックや還付請求の手続きは専門性の高い領域です。
費用対効果という点では、還付が認められた場合の成功報酬型で対応している事務所も多く、初期費用なしで着手できるケースもあります。損をするリスクがないなら、相談しない理由はありません。
大型の固定資産を持つ法人経営者の方には、まず手元の課税明細書を確認することをおすすめします。何年も当たり前のように払い続けてきた税金が、実は過払いだったというケースは本当によくあります。5年という期限がある以上、気づいたときが動き時です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。