先日、関西で工場を3棟持つ製造業の社長から、こんな連絡をもらいました。
「税理士に固定資産税の見直しを頼んだら、年間200万円以上削れた。もっと早く気づけばよかった」
固定資産税というのは、毎年1月1日時点で土地・建物・事業用設備を持っている会社に課せられる税金です。「払って当たり前」の感覚で、ほとんどの社長が見直しをしていません。でも実は、正当な手続きを踏むだけで、年間数百万円単位で削れるケースが珍しくないのです。
今回は、その中でも特に効果が大きい3つのポイントを順番にお伝えします。
第3位:「廃棄したはずの設備」が今も課税されている
まず確認してほしいのが、自社の「償却資産台帳」です。
設備を廃棄・解体したときに、自治体への「除却申告」をしていないと、もう存在しない資産に対して固定資産税が課され続けます。数年間放置していれば、それだけで数十万円の過払いになっていることがあります。
「そんなはずはない」と思う方も多いのですが、これは非常によくあるミスです。製造ラインの入れ替えや事務所のリノベーションで会計処理は済んでいても、自治体への申告を忘れているケース。経営者の交代時に引き継ぎが不完全だったケース。思い当たる節がある会社は少なくありません。
台帳をしっかり棚卸しするだけで、年30万〜100万円の削減が見えてくることもあります。まずは現物と台帳を突き合わせるところから始めてみてください。
第2位:「空調・電気設備」を建物と一緒に申告していませんか?
建物に付随する設備——空調、電気、給排水、昇降機など——を建物と一体として申告していると、固定資産税の計算で損をします。
建物の評価は、経年劣化による減価が非常にゆっくりです。一方、これらの附属設備を「償却資産」として分離して申告すると、機械設備と同じように評価が早いペースで下がり、税負担が小さくなります。
適切に分離することで年間100万〜200万円の圧縮になるケースもあります。特に築年数のある建物に大規模リフォームを施した会社は要注意です。リフォームで付け替えた空調や電気設備が、そのまま建物評価に含まれてしまっているかもしれません。
分離申告への切り替えは、設備投資額の明細と税理士が連携すれば対応できます。この一手間が長期的に大きな節税効果を生みます。
第1位:市区町村の評価額、そのまま信じていませんか?
最も効果が大きく、かつ最も見落とされがちなのが「固定資産評価額の審査申出」です。
固定資産税の課税ベースとなる評価額は、市区町村が算定します。3年ごとに見直される仕組みですが、この評価額に誤りが含まれているケースが存在します。土地の形状の考慮漏れ、路線価の適用ミス、建物用途の分類誤りなど、専門家が精査すると「計算上の誤り」が出てくることがあるのです。
正式な審査申出は、毎年4月1日からの課税台帳公示から3ヶ月以内に行う必要があります。この期限を過ぎると原則として争えなくなりますので、タイムラインだけは頭に入れておいてください。
固定資産税の専門知識を持つ税理士や不動産鑑定士と組んで審査申出を行った結果、年間500万円以上の過払い分が認められた事例もあります。大きな工場や商業施設を持つ会社ほど、リターンが大きくなります。
「市区町村が決めた額だから正しい」は思い込みです
税金は正しく払うべきですが、過払いをし続ける義務はありません。
固定資産税の見直しが進まない最大の理由は、「役所が決めた額だから正確なはず」という思い込みです。でも実際には、今回紹介した3つのポイントだけでも、合法かつ正当な手続きで年間数十万〜数百万円の節税が可能です。
まずは自社の償却資産台帳を引っ張り出して、実際に使っているかどうかを一つひとつ確認するところから始めてみてください。それだけで手がかりが見つかることがあります。
評価額の審査や分離申告の組み直しは、固定資産税に精通した税理士でないと難しい領域です。もし「うちの固定資産税、本当に正しいのかな」と感じたなら、一度プロに相談してみることを強くおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。