先日、ある製造業の社長からこんな連絡が届きました。

「顧問税理士に言われて固定資産の評価書を確認したら、5年前に取り壊した工場にずっと課税されていたんです。合計で数百万円……」

この話、決して他人事ではありません。固定資産税の過払いは、気づかないまま何年も続いているケースが珍しくないんです。

「誰も修正してくれない」が原則

固定資産税の評価額は、3年に1度しか見直されません。これを「評価替え」と呼びます。

ところが、この3年間に何が起きても、役所側が自動で修正してくれることはほぼありません。床面積が誤って登録されていようと、建物の構造区分が間違っていようと、「指摘されなければそのまま」が原則です。

誰かが確認しに行かない限り、誤りは誤りのまま何年でも放置されます。それが固定資産税の恐ろしいところです。

過払いが起きる3つのパターン

実際に過払いが発生しているケースには、いくつか共通したパターンがあります。

ひとつ目は床面積の記録ミスです。増改築や登記のタイミングで面積が誤って登録されると、実際より広い面積に対して課税され続けます。

ふたつ目は建物構造の誤分類。「鉄骨造」と「木造」では評価額が大きく異なります。構造が誤登録されていると、本来より高い評価額がずっと続くことになります。

三つ目が最も見落とされがちです。取り壊した建物への課税継続です。建物を解体しても、役所への届け出が正しく完了していない場合、存在しない建物への課税がそのまま続きます。

工場や大型の商業ビルでは、こうしたミスが重なって評価額が実態より30%近く高く設定されているケースもあります。年間100万円以上の過払いが判明した事例も、決して珍しくありません。

5月は「縦覧期間」――今すぐ確認できます

実は毎年4〜5月は「縦覧期間」として、自社の固定資産評価明細を市区町村の窓口で無料確認できます。今年は5月中がその時期にあたります。

特別な手続きは不要です。本人確認書類を持って窓口に行き、「評価明細書」を手に取るだけ。登録内容が実態と一致しているかを確認してみてください。

チェックすべき主なポイントはこの3つです。

  • 建物の床面積(実測値と一致しているか)
  • 建物の構造区分(木造・鉄骨造・RC造など)
  • 課税されている建物の一覧(取り壊し済みのものが混ざっていないか)

誤りがあれば、3か月以内に審査申出を

評価明細を見て「これ、おかしいな」と思ったら、審査申出の手続きを取ることができます。期限は固定資産税の納税通知書が届いた日から3か月以内です。

審査申出が認められると、過払い分が還付される可能性があります。ただし、遡れる期間には限りがあるため、気づいたら早めに動くことが肝心です。

手続き自体は自分でもできますが、評価額の妥当性を争う局面では専門的な判断が必要になります。固定資産税に詳しい税理士に相談しながら進めるのが確実です。


毎年何十万、場合によっては百万円単位で余計に払い続けているとしたら、それは「払わなくていいコスト」です。節税というと利益を圧縮する話になりがちですが、固定資産税の過払い還付はそれとは別の話――正当なコスト削減です。

5月のうちに一度、評価明細書を確認してみてください。「いつか確認しよう」と思いながら先延ばしにして、また来年……というのが最も損な選択肢です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。