先日、年商3億円ほどの建設業の社長から、こんな連絡が来ました。

「顧問税理士に『法人保険の節税って、もう終わったんですよね?』と聞いたら、『そうですね』って言われたんですが、本当ですか?」

結論から言うと、半分本当で、半分は違います

2019年に国税庁が定期保険の損金算入ルールを大幅に見直したのは事実です。当時「節税保険」として爆発的に普及していた商品の多くが規制され、旧来のやり方ではたしかに使えなくなりました。

ただ、規制されたのはあくまで「特定の設計」の話。今も合法的に機能する法人保険の節税スキームは、複数存在します。今日は、私が実際にクライアントへ提案している3つをお伝えします。

3位:低解約返戻型定期保険

まず、シンプルで導入しやすいのがこれです。

最高解約返戻率を50%以下に設計した定期保険は、2019年規制の枠組みの外に位置づけられており、保険料の全額を損金算入することができます。

たとえば年間1,000万円の保険料を支払っているとしましょう。実効税率34%で計算すると、約340万円の節税効果が生まれます。10年続ければ3,400万円です。

もちろん、解約返戻率が低いということは、解約時に戻ってくるお金も少ないということ。純粋に「今期の利益を圧縮したい」「税負担を翌期以降にシフトしたい」という場面に特化した設計です。「保険でお金を貯める」という発想とは切り離して考えるのがポイントです。

2位:短払い終身保険 × 退職金設計

少し複雑ですが、経営者の退職金と組み合わせる設計として非常に効果的なのがこちらです。

保険料の払込期間を10年間に集中させることで、損金算入できる金額を前半にまとめて計上します。払い込みが終わった後も保険は継続し、解約返戻金を退職のタイミングで受け取る——というシナリオです。

退職金には「退職所得控除」という手厚い控除があり、課税される金額がかなり圧縮されます。つまり会社側では損金として節税しながら、個人が受け取るときも税負担が軽い。この二段階の節税効果がこのスキームの魅力です。

ただし、保険料の損金算入割合は商品設計によって異なり、設計を間違えると想定外の課税が生じることもあります。導入前に税理士と連携して、具体的な数字をシミュレーションすることが必須です。

1位:養老保険ハーフタックス + 医療保険の複合設計

個人的に、今もっとも注目しているのがこの組み合わせです。

養老保険の「ハーフタックスプラン」とは、死亡保険金受取人を「遺族(従業員)」、満期保険金受取人を「法人」に設定することで、保険料の1/2を損金算入できる古典的な設計です。この設計自体は2019年規制の対象外であり、現在も有効です。

さらにこれに法人契約の医療保険を組み合わせることで、全体の保険料に対する損金算入割合を大きく引き上げることができます。設計次第では、年間保険料の30%以上を節税に回せるケースも珍しくありません。

「養老保険は古い」というイメージを持つ方も多いのですが、この複合設計は2019年以降に改めて注目されてきたアプローチです。規制を「くぐり抜けた」という話ではなく、規制の設計上もともと対象外だった組み合わせを活かす、という正攻法です。


3つのスキームに共通して言えるのは、「どれか1つを単独で使う」よりも、自社の資金繰りや将来の退職金計画と組み合わせて設計するほうが、効果が何倍にもなるということです。

今期の利益がまだ十分に圧縮できていない方、退職金の準備をそろそろ考えたいという経営者の方は、まず顧問税理士に「低解約返戻型定期保険」か「ハーフタックスの複合設計」について聞いてみてください。ピンとこない反応が返ってきたら、保険に詳しい税理士を探すサインかもしれません。今の設計を一度見直してみることを、強くおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。