先日、年商8億円の建設会社を経営する社長から、こんな相談が届きました。
「去年、知人から航空機リースの節税を勧められたんですが、今年もまだ間に合いますか?」
私は少し間をおいてから、こう答えました。「今年が実質的に最後のチャンスだと思います」と。
年5,000万円を損金にできる仕組みがある
オペレーティングリースとは、航空機や船舶といった大型の実物資産に投資することで、大きな損失を計上できる節税スキームです。
SPC(特別目的会社)を通じて航空機などを取得し、その減価償却費を出資者に分配することで、出資した事業年度に多額の損金を計上できます。条件が整えば、年間5,000万円を超える損金算入も十分に実現可能です。
利益が出た事業年度にこの仕組みを組み合わせることで、法人税の納税額を大幅に圧縮できます。「億単位の利益が出た年に、まとめて節税したい」という社長には、非常に強力な手段として知られてきました。
「航空機リース節税」という言葉を顧問税理士から聞いたことがある方も、少なくないのではないでしょうか。
2026年、会計基準の変更で何が変わるのか
ここが本題です。
2026年3月期以降、日本に「新リース会計基準」が適用されます。これが、オペレーティングリース節税の根本を変える改正です。
これまでは、出資者の貸借対照表にリース資産・負債を計上しない「オフバランス」処理が認められていました。この処理があってこそ、一時的に大きな損金を作り出せていたわけです。
新基準では、原則としてすべてのリース取引を「オンバランス」で処理することが求められます。資産と負債の両建てで計上されるため、これまでのように損金を一気に作り出す仕組みが機能しなくなります。
税務上の美味しい部分が、会計基準の変更によってごっそり消えてしまうのです。
「まだ来年がある」という油断が最も危ない
2026年がタイムリミットとお伝えすると、「では年内ゆっくり考えればいい」と思う方が多いのですが、それが一番危険な認識です。
まず、すでに案件が急減しています。節税目的の需要が集中しているため、条件のよい案件から順番に埋まっていき、選択肢は今まさに絞られ続けています。
次に、こうしたスキームは「今期の決算に間に合わせる」ことが前提です。出資・組成・契約のプロセスには数ヶ月かかるため、決算直前に動き始めても間に合わないケースが出てきます。
今期中に使いたいなら、今この瞬間から動き始める必要があります。
節税効果だけで判断しないために
正直に言っておきたいことがあります。
オペレーティングリースはあくまでも「投資」であり、元本保証はありません。航空機のリース料収入が想定を下回れば、節税効果以上の損失が出るリスクもあります。また、一口あたりの出資額は数千万円〜億単位になることも多く、資金繰りへの影響を甘く見るのは禁物です。
「節税になるから」という理由だけで飛びつくのではなく、事業全体のキャッシュフローと利益計画のなかで冷静に判断してください。
今期の利益が大きく積み上がっていて「何か手が打てないか」と感じているなら、まず顧問税理士に一声かけてみてください。「オペレーティングリース、今期にまだ使えますか?」と聞くだけで、選択肢が見えてきます。
同じ質問を1年後にしたとき、「もう手遅れです」という答えが返ってこないよう、動くなら今です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。