先日、顧問先の社長からこんな連絡が来ました。「税務調査が入って、追徴が元の税額の3倍を超えそうだ」と。

詳しく話を聞くと、原因は「架空の外注費」でした。契約書も振込記録もきちんと残っている。でも調査官に「業務の実態がない」と判断され、そこから芋づる式に他の経費まで掘り起こされてしまったのです。

税務調査で追徴が膨らむ案件には、いくつかの共通したパターンがあります。今日は特にリスクの高い5つをお伝えします。心当たりのあるものがあれば、決算前に必ず見直してください。

第5位:事業関連性が曖昧な資産の購入

「法人で買えば経費になる」という感覚で、趣味性の高い商品や個人でも使える物品を計上しているケースです。ゴルフ用品、高級腕時計、自宅でも使えるPCや家電などが典型例です。

調査官は「実際に誰がどのように事業で使ったか」を確認します。領収書があっても、使用実態の説明ができなければ否認されます。購入の都度、「なぜ事業に必要だったか」をメモしておく習慣をつけるだけで、リスクはぐっと下がります。

第4位:実態のない出張費・旅費

旅費規程を整備しているのは良いことです。ただ、規程を作っただけで、実際には出張していないのに交通費や宿泊費を計上しているケースは、調査の格好の標的になります。

最近は交通系ICカードの履歴や宿泊予約サービスの利用記録まで確認されます。「規程通りに支払ったから大丈夫」では通りません。出張報告書、訪問先とのメールのやりとり、アポの記録——こうした痕跡を残しておくことが必須です。実態のない旅費は、節税どころか調査を招く火種になります。

第3位:交際費の記載不備

「1人あたり1万円以下の飲食費は損金にできる」という特例を使っている社長も多いでしょう。ただ、この特例には法律で5項目の記載が義務づけられています。

①飲食の日付、②参加者の氏名と取引先との関係、③参加人数、④金額と店舗名、⑤事業上の目的——この5項目です。1項目でも欠けていると、全額が経費として認められません。

「店名と金額は書いた。でも参加者の関係性を書き忘れた」というだけで、数百万円が一括否認されることがあります。過少申告加算税は10〜15%。書き漏れの代償としてはあまりにも高すぎます。飲食費の領収書には、その場でメモ書きする習慣を徹底してください。

第2位:家族役員への過大報酬

配偶者や子どもを役員にして、業務実態に見合わない高額な報酬を支払うケースです。調査官はまず「実際にどんな業務をしているか」を確認します。

業務の実態が乏しいにもかかわらず報酬が高額だと、「不相当に高額な役員給与」として損金不算入になります。さらに「所得分散を意図した隠蔽行為」と認定されれば、重加算税35%が加算されます。

家族を役員にすること自体は何ら問題ありません。ただし、業務実態の記録——取締役会議事録、業務日報、社内メールのやりとり——はきちんと残しておく必要があります。「妻は経理を担当している」と言うなら、その痕跡を書類で示せるかどうかが勝負です。

第1位:架空の外注費・コンサル費

これが最もリスクの高いパターンです。「契約書も振込記録もある」のに追徴が3倍を超えた社長の話は、まさにここに当てはまります。

調査官は書面だけでなく、「その外注先が実際に何をしたのか」を徹底的に調べます。成果物は何か、どんなやりとりがあったか、相手方の申告と一致しているか——。業務実態がゼロと判断された瞬間、重加算税35%に加えて延滞税が積み上がり、元の税額の3倍を超えることも珍しくありません。

節税目的で知人や親族への外注費を水増ししているケースは、調査官にはすぐわかります。外注先とのメール、仕様書、納品物を必ず保管してください。少しでも後ろめたさを感じる取引があるなら、今すぐ顧問税理士と話し合うべきです。


税務調査はある日突然やってきます。調査が入ってから慌てて書類を揃えようとしても、後から作ったものは簡単に見抜かれます。

日頃の経費処理の精度が、調査の結果を大きく左右します。今日挙げた5つのパターンに一つでも心当たりがあるなら、今期中に顧問税理士と一度しっかり確認しておくことを強くおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。