先日、年商4億円の製造業を営む社長から、こんな話を聞かせていただきました。

「節税できたと思って喜んでいたのに、出口になったら思っていた金額が全然戻ってこなかった」

一瞬、何が起きたのかわからなかったそうです。でも話を聞くうちに、原因はひとつのところに行き着きました。組成会社の選び方です。


節税できたのに、なぜ損をしたのか

その社長——仮に田中社長としましょう——は、3,500万円のオペレーティングリースに加入しました。初年度に全額損金算入でき、実効税率40%で計算すると約1,400万円の節税効果。数字だけ見れば、かなり優秀な節税スキームです。

ところが、リース期間の途中で問題が表面化しました。リース物件を運用していた組成会社の財務状況が悪化し始めたのです。

結果として、満期時に戻ってくるはずだった返戻金が当初の見込みより大幅に目減り。「入口での節税効果」を、「出口での損失」が大きく食い潰す形になってしまいました。


オペレーティングリースの「出口リスク」を甘く見ていないか

オペレーティングリースは、航空機や船舶などを使ったリース事業に出資し、初年度または数年間で多額の損金を作れる仕組みです。税務上の扱いも明確で、正しく活用すれば非常に有効な節税手段です。

ただし、これは「入口」の話です。

リース期間が終われば、物件は売却されて出資者に分配金が戻ってきます。この「出口」の金額が、最終的な損得を左右します。そして出口の品質を決めるのが、組成会社の実力なのです。

安さだけで選んだ組成会社が、リース期間中に経営不安に陥る——これは決して他人事ではありません。


組成会社を選ぶときに見るべき3つのポイント

では具体的に、どこを見ればいいのか。私が相談を受けたときに必ず確認するよう伝えているのが、以下の3点です。

① 運用実績の年数

その会社が何年、オペレーティングリースの組成・運用を続けてきたか。リーマンショックやコロナ禍といった経済の荒波を経験しているかどうかが、実質的な「耐久テスト」になっています。設立から数年の新興会社は、実績という意味でリスクがあります。

② 償還実績の開示

過去に満期を迎えたファンドが、どれくらいの返戻率で償還されたか。この情報をきちんと開示しているかどうかは、会社の誠実さのバロメーターです。「好調なものしか見せない」会社と「全案件を開示している」会社では、信頼性がまるで違います。

③ 組成残高の規模

現在進行中のファンドの総額がどれくらいあるか。規模が大きいほど運用の安定性が高く、万が一のときのバッファーも期待できます。逆に残高が極端に小さい会社は、事業継続性の観点から慎重に見るべきです。


「安いから」で選ぶと、取り返しがつかない

節税商品に限らず、「同じ効果なら安い方がいい」という発想は自然です。でも、オペレーティングリースに関しては、その判断が命取りになることがあります。

手数料が低い組成会社が、なぜ低く設定できているのか。その理由を考えることが大切です。運用コストを削っているのか、規模が小さく集客のためにコストを下げているのか。どちらにしても、リスクが潜んでいる可能性があります。

田中社長のケースで言えば、リース期間中の3〜5年という時間は、問題が表面化するには十分な長さです。加入時に問題がなくても、その間に状況が変わることがある。だからこそ、組成会社の「体力」を事前に見ておく必要があります。


大型節税は、入口より出口が命

1,000万円を超えるような大型の節税スキームは、加入したときではなく、満期を迎えたときに本当の結果が出ます。

節税額だけに目が向きがちですが、最終的に手元に残る金額で判断しなければ意味がありません。組成会社の比較検討は、その意味で節税の設計において最も重要な工程のひとつです。

「専門家に任せているから大丈夫」という社長もいますが、担当者が複数の会社を横断的に比較できる立場にあるかどうか、確認しておくことをおすすめします。特定の組成会社とのみ提携しているケースでは、比較が十分に行われないこともあります。

決算対策としてオペレーティングリースを検討しているなら、今期の利益状況を確認しながら、早めに複数の選択肢を比べる時間を作ってください。出口まで見越した判断ができる専門家と一緒に動くことが、結果的に最大の節税につながります。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。