先日、顧問先の社長からこんな連絡が入りました。「税務調査が入って、オペレーティングリースの損失が全部ダメだって言われたんですが……」。3億円の損失が丸ごと否認された、という話です。加入から2年、ずっと節税できていると思っていたのに、です。

こういったケースが、ここ数年で急増しています。オペレーティングリースそのものが違法なわけではありません。ただ、加入の仕方を間違えると、節税どころか追徴課税という最悪の結果になる。今日はその「間違え方」を3つ、お話しします。


① 本業と関係ない資産に出資していないか

オペレーティングリースは、航空機や船舶といった大型資産をリースする匿名組合に出資し、減価償却による損失を取り込む仕組みです。年間1億円を超える損失を計上できるケースもあり、キャッシュリッチな中小企業の社長には魅力的に映ります。

ただし、税務署が真っ先に確認するのが「事業関連性」です。あなたの会社の事業と、その資産に何らかのつながりがあるか、という点です。

製造業の会社が、なぜ航空機リースに出資するのか。物流に使うわけでも、業務上必要なわけでもない。こうした説明ができない状態で加入していると、「本業に関係ない投資では経費として認めない」という判断が下るリスクがあります。

「節税商品を買いました」では通らないのが現実です。


② 「節税のためだけ」が透けて見えると危ない

次に問題になるのが、租税回避目的と認定されるケースです。

税務署は、加入の経緯や時期も見ています。決算の直前に、顧問税理士ではなく保険代理店や金融機関の営業担当から紹介を受けて加入した。加入の稟議書や社内資料には「節税効果◯◯万円」とだけ書いてある。こういった状況だと、「税金を減らすためだけに契約した」と認定されやすくなります。

法律上、租税回避を主目的とした取引は否認できる、という考え方があります。オペレーティングリースも例外ではありません。節税メリット以外の事業目的、たとえば「資産運用の分散」「キャッシュフロー管理」といった説明がきちんとできるかどうかが、分かれ目になります。

加入前に「なぜこのリース案件に出資するのか」を言語化しておくことが、リスクヘッジになります。


③ 匿名組合の「実態」が問われている

3つ目は、出資者としての実態です。これが見落とされがちで、かつ致命的になりやすい。

オペレーティングリースは匿名組合契約を使います。ところが、ペーパー上だけで契約が存在し、実際の運営や意思決定が形式的にしか行われていない場合、税務署から「実態のない契約」として否認されることがあります。

組合の事業計画や運営状況を定期的に確認しているか。リース先の企業情報を把握しているか。こういった「出資者として関与している証拠」が残っていないと、契約の存在自体を疑われます。

実際に否認された事例では、「組合員が誰なのかすら把握していなかった」というケースもありました。書類に署名しただけで終わっていた、ということです。


加入前に必ず確認してほしいこと

3つのNGをまとめると、こうなります。

  • 事業関連性がない(なぜこの資産に出資するのか説明できない)
  • 節税目的しかない(それ以外の事業目的を説明できない)
  • 出資者としての実態がない(組合運営に関与していない)

これらは「やってしまったあと」に気づいても手遅れです。税務調査が入ったタイミングで発覚し、3億円が全額否認されたケースのように、数年分の節税効果がまとめて消えることになります。


オペレーティングリースは、正しく使えば強力な節税手段です。ただ、その「正しく使う」という部分が、営業担当者の説明だけでは見えてこないことが多い。

「なぜこの案件に出資するのか、3行で説明できますか?」

これが、加入前に自分に問いかけるべき最低限のチェックです。もし答えに詰まるようであれば、まず税理士に相談してから判断することをおすすめします。せっかくの大型節税が、税務調査の一言で消えてしまう前に。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。