先日、年商8億円の不動産会社を経営する社長から電話がありました。「6月になって住民税の通知が来たんですが、去年より150万円も増えてて……これ、正しい金額なんですかね?」
正しいです。でもそれは、去年の節税対策が不十分だったというサインでもあります。
住民税は「前年の所得」をもとに計算される後払いの税金です。つまり今ポストに届いた通知書は、2025年(昨年)の課税所得に対する請求書。昨年の決算期に何もしなかったなら、今年の6月にそのツケが回ってくる——そういう仕組みになっています。
「税金は決算が終わってから考えればいい」と思っている社長がいますが、それは大きな誤解です。決算が締まった瞬間、もう打てる手はほとんどありません。節税は「今期のうち」に動かないと意味がないんです。
年商が上がるほど、知っているかどうかの差が広がる
少し衝撃的な数字をお伝えします。
年商10億円を超えるオーナー社長が節税策を何も講じずに1年を過ごすと、所得税・住民税・社会保険料を合算した実効税率が50%を超えるケースがあります。稼いだお金の半分以上が税金と社保で消える計算です。
もちろん、合法的にその比率を下げる方法はあります。問題は、その方法を「知っているかどうか」だけです。
税務署は「払わなくて済む方法」を教えてくれません。納税者が自ら学び、適切な専門家に相談した人だけが節税の恩恵を受けられる——これが現実の構造です。
住民税通知が届いた「今」こそ動くタイミング
6月に住民税の通知が届いたとき、多くの社長は「今年も高いな」と思いながら封筒をしまいます。でも賢い社長はここで逆に動き始めます。「届いた通知は去年の話。今年はどう動くか?」と。
今期がまだ終わっていないなら、課税所得はまだ変えられます。決算直前ではなく、今この瞬間から始めることに意味があるんです。
具体的に有効な手段の一つがオペレーティングリースです。航空機や船舶などの大型設備への投資を通じて、1億円規模の課税を合法的に翌期以降へ繰り延べることができる手法です。利益が出ている今期に仕込むことで、今年の税負担を大きく圧縮できます。
もう一つが持株会社スキームの活用です。オーナー社長が直接配当を受け取ると、最大55%の総合課税が乗ってきます。でも持株会社を通じた受取配当の益金不算入制度を使えば、配当課税を大幅に最適化することが可能です。会社間の資金移動の設計を見直すだけで、手残りが変わります。
いずれも要件を満たせば活用できる手法ですが、設計を誤ると効果がなくなったりリスクになる場合もあるので、税理士との連携が前提になります。
3年で数千万円の差がつく理由
節税と聞くと「少し得をする程度」のイメージを持つ方もいますが、実際の数字はまったく違います。
仮に年間500万円の税負担を合法的に300万円まで圧縮できれば、3年間で600万円の差になります。その600万円を事業に再投資すれば、成長速度も変わってきます。
逆に言えば、毎年「税金が高いな」と思いながら何も動かなかった社長は、3年間で数百万円を余分に払い続けていることになります。これが「知っている社長」と「知らない社長」の差の正体です。
大切なのは、節税は脱税ではないということです。法律の範囲内で使える制度を使い切る——それは経営者として当然取り組むべきことだと思っています。
今期動くための3つの確認ポイント
住民税通知を受け取ったら、今期の税理士との面談で以下の3点を確認してみてください。
- 今期の着地見込み:課税所得がどの程度になりそうか把握する
- 積み立て・リースの活用余地:経営セーフティ共済やオペレーティングリースの余地はあるか
- 役員報酬・持株会社の設計:現状の資金移動スキームを見直す余地があるか
「決算が近づいてから考える」のではなく、今の段階で先手を打っておくことが大切です。
住民税通知は毎年6月に届く不快な封筒ですが、「去年の請求書」ではなく「今年動くきっかけ」として受け取る習慣をつけてみてください。まだ税理士と節税の具体的な話ができていないなら、この6月が相談を始める最良のタイミングです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。