先日、ある社長からこんな電話をいただきました。「税理士に勧められてオペレーティングリースに5億円入れたんですが、そろそろ解約しようと担当者に連絡したら『今の時期は解約できません』と言われて……」
その声、本当に沈んでいました。
オペレーティングリース(以下「オペリース」)は、航空機や船舶などへの出資を通じて法人税を繰り延べられる節税スキームです。年商5億円以上の中小企業オーナーに人気があり、「決算前の節税」として提案されるケースが増えています。
ただ、加入時には説明されないリスクがいくつかあります。今日は、私が実際に相談を受けた事例をもとに、見落とされがちな3つの落とし穴をお伝えします。
第3位:解約できる「窓口」は1〜2年しか開かない
オペリースには、解約を申請できる期間が厳密に決まっています。多くの商品で、その窓口はわずか1〜2年。この期間を過ぎると、選択肢は「強制継続」か「数千万円規模の違約金を払って解約」かの二択になります。
契約書にはその条件が記載されているのですが、加入時に詳しく説明を受けた方はほとんどいません。「節税になる」という点だけ強調されて、出口の話はほとんど出ない——これが実態です。
解約窓口の時期が近づいたら、担当者に必ず連絡を入れること。カレンダーにリマインダーを設定しておくくらいの備えが必要です。
第2位:ドル建て契約は、円安が進むほど目減りする
航空機リースを中心に、多くのオペリースはドル建てで組まれています。これが意外な盲点になります。
仮に1ドル110円のときに5億円を出資したとして、解約時に1ドル140円になっていたらどうなるか。ドルベースの返戻額が同じでも、円換算すると受取額が目減りするケースがあります。5億円を出資したのに手元に戻ってきたのが4億円台だった、という話は珍しくありません。
2022年以降の急速な円安を経験して初めてこのリスクに気づいた社長が、私の周りでも複数いました。今すぐ契約書を確認して、「外貨建て」かどうかをチェックしてみてください。
第1位(最重要):解約返戻金には、がっつり法人税がかかる
ここが最も誤解されているポイントです。
「オペリースの返戻金を退職金の原資にすれば節税になる」と思っている社長は多いです。たしかに退職金は損金算入できます。ただ、問題は返戻金を受け取った期に、その金額が丸ごと益金算入されるという点です。
つまり、返戻金が入った期は利益が大きく膨らみます。そこから退職金を出して損金にしても、差し引きで考えると「想定していた節税効果の半分以下だった」というケースが実際に起きています。
オペリースが節税にならないわけではありません。ただ、「受け取り時の税負担」を加入前に試算していないと、手元に残るキャッシュが大きく想定を下回ることになります。
解約前に必ず確認する3点
解約を検討しているなら、まず次の3点を顧問税理士と一緒に整理してください。
- 解約申請の可能期間(今期・来期が窓口に当たるか)
- 契約通貨(ドル建てか円建てか、為替ヘッジの有無)
- 返戻金受取時の税負担シミュレーション(退職金や設備投資のタイミングとの兼ね合い)
オペリースは「加入するとき」ではなく、「出口を設計するとき」に本当の実力が問われます。 節税効果を最大化するより、失敗を避けることのほうが、結果的にキャッシュを守ることにつながります。
まだ解約シミュレーションを一度も試算したことがないなら、今期の決算前に顧問税理士へ相談しておくことを強くおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。