先日、都内で会社を経営する社長からこんな連絡がありました。「3年前に入ったリース、満期になったら思ったより税金がかかりそうで……」。話を聞いてみると、オペレーティングリースの出口で想定外の益金が発生し、節税どころか追加納税になりかねない状況になっていたんです。

原因はシンプルで、円安でした。

「節税の王道」が裏目に出るとき

オペレーティングリースは、航空機や船舶を複数の投資家で共同購入し、その減価償却費を損金として計上する節税スキームです。たとえば1億円を出資すると、初年度に約7,000万円を損金に算入できるケースもあり、利益が大きく出た年の対策として多くの経営者に使われてきました。

仕組み自体はとてもシンプルで、「大きな赤字を一時的につくり、課税所得を圧縮する」というものです。ただし、ここに大きな落とし穴が潜んでいます。

それが為替リスクです。

米ドル建てが基本、だから円安が直撃する

オペレーティングリースの契約は、ほぼすべてが米ドル建てです。航空機も船舶も国際取引なので、当然といえば当然ですね。

問題は、契約時と満期時の為替レートが変わることです。たとえば、1ドル=110円のときに契約した案件が、1ドル=150円になった状態で満期を迎えたとします。ドル建ての回収額が変わらなくても、円換算すると受取額が大きく膨らむわけです。

この「増えた部分」が益金として課税対象になります。数字で言うと、出資1億円規模の案件で、為替差益だけで2,000万〜3,000万円単位の上乗せが生じることも珍しくありません。

節税のために入ったはずが、予期しない課税が発生する。これが今、実際に起きていることです。

逆に「チャンス」になるケースもある

ただ、為替が節税に悪影響を与えるだけかというと、そうでもありません。円高局面では逆のことが起きます。

1ドル=150円のときに契約して、満期時に1ドル=120円になっていれば、ドル建ての回収額を円換算すると目減りします。一見損のように見えますが、出資時の実質コストが下がるため、利回りが改善するという見方もできます。

要するに為替は「リスクであり、チャンスでもある」。大事なのは、その変動を織り込んだうえで契約しているかどうかです。

今すぐ確認してほしい3つのポイント

すでにオペレーティングリースに参加している社長は、今すぐ以下の点を確認してみてください。

まず、為替ヘッジが付いているかどうかです。ヘッジありの商品であれば、円安による益金の膨張はある程度抑えられます。一方でヘッジコストがかかるため、利回りとのトレードオフになります。

次に、契約通貨と回収通貨の確認です。すべてがドル建てとは限らず、一部ユーロや円建て条項が含まれる案件もあります。契約書を引っ張り出して、アドバイザーと一緒に確認しておくと安心です。

そして、出口戦略の見直し。満期時期と為替の見通しを照らし合わせて、場合によっては早期解約や益金が出る年度の他の損金と相殺できないか検討しておくことが重要です。

「節税商品だから大丈夫」は危険な思い込み

オペレーティングリースは確かに強力な節税手段ですが、「入れておけば安心」という商品ではありません。為替という外部要因が、数千万円単位でシナリオを変えることがあります。

特に2022年以降の円安局面で契約した案件は要注意です。すでに為替差損が蓄積している可能性がある一方、このまま円安が続けば満期時の益金が想定を大きく上回るリスクもあります。

自分の案件がどちらに転んでいるのか、まだ確認していない社長は、今期中に一度アドバイザーや税理士と棚卸しをしておくことを強くおすすめします。為替の話は後回しにしがちですが、気づいたときには手遅れというケースが実際にあります。

決算の数字を見て「あれ、なんで税金がこんなに?」と青ざめる前に、今すぐ確認の一歩を踏み出してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。