先日、顧問先の社長からこんな連絡をいただきました。「今期の利益が想定より2億近く出そうで、どうにかならないか」と。
決算まで残り2ヶ月。この状況で打てる手は限られていますが、こういうときに「知っているかどうか」が何千万円もの差を生みます。その社長にお伝えしたのが、オペレーティングリースを活用した大型損金化の手法です。
2億円が、出資した年度に丸ごと損金になる
少し驚かれるかもしれませんが、オペレーティングリースという仕組みを使うと、2億円を出資した年度に、2億円をそのまま損金として計上できます。
なぜそんなことが可能なのか。オペレーティングリースとは、航空機や船舶などの高額資産を購入し、それを航空会社などに貸し出す事業への出資スキームです。リース期間の初期に減価償却が集中する構造になっているため、出資初年度に大きな損金が発生します。
これは税法上の抜け穴ではなく、正規の会計処理です。国内の大手税理士法人も積極的に活用しており、上場企業の決算対策としても広く使われています。実効税率が30%の企業なら、2億円の損金化で約6,000万円の税負担が一気に軽くなります。この数字、決して小さくありません。
出口戦略を知らないと、後が怖い
ただし、この手法には必ず「出口」の話がセットになります。ここを理解していないと、数年後に痛い目を見ます。
リース期間が終了すると、資産の売却益が益金として発生します。つまり、一時的に圧縮した税負担が、将来の課税という形で戻ってくる構造です。
重要なのは、タイミングの設計です。多くの場合、リース終了は契約から7〜10年後になります。その時点で役員退職金の支払いが重なるように設計すれば、退職金という大きな損金で益金を相殺できます。社長が60代なら、リース終了時期と退任のタイミングが合わせやすい。逆に40代の社長が「今期の節税だけ」を目的に使うと、出口で課税が重なって当初の想定が崩れることもあります。
向いている会社、向いていない会社
この手法が効果的なのは、今期に突発的な大きな利益が出た、数年以内に事業承継や代表退任を予定している、余剰資金があり出資金を一定期間動かせる——こういった状況の会社です。
逆に、資金繰りがタイトな会社には向きません。出資した2億円は、リース期間中は基本的に戻ってきません。流動性を確保しながら使える手法かどうか、キャッシュフローとセットで判断する必要があります。
最低出資額は案件によって異なりますが、数千万円〜が相場です。「2億」はあくまで目安の規模感であり、出資額に応じて損金額も変わります。
節税は「知っているかどうか」の差
オペレーティングリースは決して新しい手法ではありません。10年以上前から存在しており、税制上の根拠もしっかりしています。
ただ、積極的に提案してくれる税理士は多くありません。仕組みが複雑なこと、金融機関や専門業者との連携が必要なこと、出口設計の判断ミスのリスクが大きいこと——こうした理由から、「知っていても勧めない」税理士もいます。
だからこそ、社長自身がこういった手法の存在を知っておくことが重要です。顧問税理士に「オペレーティングリースはどうでしょう?」と自分から聞いてみる。その一言で数千万円変わることがあります。
今期に大きな利益が見込まれているなら、決算直前に動いても間に合わないこともあります。少しでも気になったなら、早めに顧問税理士へ相談することをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。