先日、年商8億円の建設会社の社長からこんな相談を受けました。「今期また利益が出そうで……正直、税金を払うたびに損した気分になるんですよね」。その気持ち、よくわかります。でも、税金を払い続けることが当たり前になっている社長ほど、大型の節税スキームを知らないまま機会を逃していることが多いんです。
そのとき私が紹介したのが、航空機オペレーティングリースという仕組みでした。
仕組みはシンプル。航空会社に機体を貸し出すだけ
航空機オペレーティングリースとは、簡単に言えば「航空会社に飛行機を貸し出す事業に出資する」ことです。複数の投資家でSPC(特別目的会社)を組成し、そのSPCが機体を購入してANAやJAL、海外の航空会社にリースします。
ここで節税効果が生まれる理由が「減価償却」です。航空機は耐用年数が短く設定されており、購入初年度に投資額の60〜70%を損金として計上できます。たとえば5,000万円を出資すると、約3,500万円が今期の損金になる計算です。
法人税の実効税率を30%と仮定すると、その年だけで1,050万円以上の節税効果になります。利益が大きく出た年に出資するほど、効果も大きくなります。
「節税」ではなく「繰り延べ」と理解する
ここが最も重要なポイントです。航空機リースは税金を永久に消すわけではありません。リース期間(通常7〜12年)が終わると、機体の売却益が「益金」として戻ってきます。つまり、今期に払う税金を将来に先送りする「課税の繰り延べ」です。
なぜそれが有利なのかというと、まず手元の現金を長期間運用できること。そして出口のタイミングを自分でコントロールしやすいこと。たとえばリース終了年に役員退職金を重ねて支払えば、戻ってくる益金を相殺できます。赤字が見込まれる年に合わせる戦略もあります。
要するに、益金が戻る7〜12年後に「何で受け止めるか」を今から設計しておくことが肝心なんです。
最低投資額と参入ハードル
このスキームの難点は、誰でも気軽に入れるわけではないことです。一般的な最低投資額の目安は3,000万円〜5,000万円。これだけのキャッシュを一度に動かせる会社でなければ、そもそもテーブルに乗れません。
そのため、対象となるのは主に次のような会社です。
- 年商3億円以上で、税引き前利益が継続的に1億円を超えている
- 内部留保が厚く、手元資金に余裕がある
- 7〜12年の資金拘束に耐えられるキャッシュフロー構造がある
逆に言えば、この条件を満たしている会社にとっては非常に強力な選択肢になります。毎期コツコツ税金を払い続けるより、一度大きく繰り延べて手元資金を活かす発想です。
注意すべきリスクと専門家の重要性
もちろん、リスクがないわけではありません。航空会社が経営破綻した場合にはリース料が滞るケースもあります。また、世界的なパンデミックや地政学リスクで航空需要が急落すると、リース条件の見直しが起きることも過去にありました。
出口戦略が不十分なまま益金が戻ってきてしまうと、一気に課税されて資金ショートを招くリスクもあります。「節税できると聞いて飛びついたら、10年後に痛い目を見た」という話は実際にあります。
だからこそ、このスキームは必ず専門家——できれば大型節税スキームを扱い慣れた税理士や、リース専門のファイナンシャルアドバイザー——と一緒に検討することが前提です。「良い話を聞いた」だけで動くのは危険です。
今期に利益が出ている社長へ
決算が近づいて「また税金か……」と感じている社長がいれば、一度このスキームを選択肢に入れてみてください。3,000万円以上の手元資金と、それなりの利益が出続けている会社であれば、検討する価値は十分あります。
ただし、出資の意思決定から実行まで時間がかかることが多いため、決算直前に慌てて動いても間に合わないケースもあります。「来期こそ動く」と決めているなら、今から情報収集と専門家への相談を始めておくのが賢明です。
大きな節税は、準備した人だけが使える特権です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。