「うちのランボルギーニ、全額経費で落とせますよね?」
先日、建設業を経営する社長からこんな一言が飛んできました。価格は約5,000万円。聞けば、商談や取引先の現場視察に使っているとのことです。
結論から言えば、証拠書類さえ整っていれば全額経費(損金算入)は可能です。でも、その「証拠」をきちんと準備できている社長は、意外なほど少ない。今回は「社用車を経費にできる社長」と「否認される社長」の決定的な差をお伝えします。
税務署が見ているのは「言い訳」じゃない
税務調査で社用車を否認されるケースに共通しているのが、「業務で使ってます」と口頭で主張するだけで、何も書類がない状態です。
税務署の担当者も「業務使用です」という申告自体を頭から疑うわけではありません。でも彼らには証拠を求める権限があります。証拠がなければ、どんなに誠実に「業務で使っています」と言っても、それは証明になりません。
特に高額車両になるほど、調査官の目は厳しくなります。ランボルギーニやフェラーリといった超高級車を経費計上している会社は調査対象になりやすい。「目立つ」ことへの対策も含めて考える必要があります。
経費として認められる3つの条件
実際に社用車を損金算入できている会社を見ると、共通して以下の3点が整っています。
① 運行日誌で業務使用を記録している
「いつ・どこへ・何の目的で」が書かれた運行記録簿を継続的につけていること。これが一番の基本です。ノートでもエクセルでも形式は問いません。日付・行先・用件・走行距離が記録されていれば十分です。
大切なのはコンスタントに続けること。「調査が入りそうになってから慌てて遡って書いた」というのは通用しません。日常的な記録習慣として定着させることが重要です。
② 社用車管理規程を社内で整備している
会社としての車両利用ルールを文書化して、社内規程として保存しておくことです。「どんな場合に業務使用とみなすか」「プライベート利用はどう扱うか」が明文化されていれば、税務署に対して「会社として管理している」という意思表示になります。
規程の内容は難しく考えなくて大丈夫です。A4で1〜2枚程度でも十分機能します。ひな形をベースに自社の実態に合わせて作ればOKです。
③ 私用分は給与課税として明確に按分している
社長が通勤や週末のドライブにも使っているのに「全部業務」は通りません。プライベート利用分については適正な割合で按分し、給与所得として課税処理することで、「残りの業務分は経費」という論立てが成り立ちます。
この按分処理をきちんと行っている会社は、逆に調査に来られても堂々としていられます。「ちゃんと私用分は課税していますよ」というのが、実は最も強い防衛線になるからです。
5,000万円のランボルギーニが経費になるかどうかの分岐点
冒頭の建設業の社長の場合、商談や現場視察に頻繁に使っていました。ただ、記録は一切なし。規程もなし。週末は家族のお出かけにも使っているとのことで、私用と業務の区別がついていない状態でした。
このままでは否認リスクが高い。そこで提案したのが、今期中に上記3点を整備した上で、来期以降は運行日誌を継続してつけること。また、週末の私用分については適切に按分して給与課税する処理を顧問税理士と相談して進めること、です。
書類が整えば5,000万円のランボルギーニでも全額損金算入できる可能性は十分あります。一方で、証拠がゼロなら300万円の普通車でも否認されることがある。金額の問題ではなく、証拠と管理体制の問題なのです。
今期中に整備しておくべきこと
運行日誌はExcelテンプレートで十分です。社用車管理規程も、ひな形をベースに1日あれば作れます。今日から記録を始めれば、今期分の証拠は積み上がっていきます。
「そのうち整備しよう」が一番危険です。調査が来てから動くのでは遅い。決算前の今こそ、書類整備を始めるタイミングです。
社用車を使っているのに運行日誌がまだない会社は、ぜひ今月中に着手することをおすすめします。税理士に相談すれば、規程のひな形や運行日誌の書式もすぐに用意してもらえますよ。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。