先日、年商8億円の建設会社の社長からこんな相談を受けました。
「決算3ヶ月前なのに、予想より利益が2億円も多く出てしまって…何か打てる手はありますか?」
こういうとき、多くの社長が真っ先に思い浮かべるのが「法人保険」です。ただ、一口に法人保険といっても種類があって、どれが自分の会社に合っているかわからない、という声をよく聞きます。
今回は、損金算入の割合と節税効果の観点から、法人保険をランキング形式で整理しました。
3位:長期定期保険(解約返戻率70〜85%タイプ)
まず3位から紹介します。解約返戻率が70〜85%のタイプで、いわゆる「長期定期保険」に分類されるものです。
このタイプは保険料の40%が損金に算入されます。年間1億円の保険料を払った場合、損金に算入できるのは4,000万円。法人税率34%で計算すると、節税額は約1,360万円になります。
「40%だと少ないな」と感じる方もいるかもしれません。ただ、解約返戻率が高い分、将来の資金回収という面では優秀です。純粋な節税目的というよりは、事業保障と節税を両立したい経営者に向いています。
2位:解約返戻率50〜70%タイプ
2位は、解約返戻率が50〜70%のゾーンに設計された保険です。
保険料の60%が損金に算入されます。同じく年間1億円の保険料なら、損金算入額は6,000万円に跳ね上がり、節税額は約2,040万円になります。
3位と比べると、損金算入の割合が40%→60%に上がった分、手元に残るお金が増えます。解約返戻率は下がりますが、「今の税負担を抑えることを優先したい」という会社には有力な選択肢です。
キャッシュフローに余裕があり、毎期の利益が安定して出ている会社に特に向いています。
1位:解約返戻率50%以下の全額損金型
節税効果だけで見ると、最も強力なのがこのタイプです。
解約返戻率が50%以下に設計されているため、保険料の全額が損金に算入されます。年間5,000万円の保険料を払った場合、そのまま5,000万円が損金となり、節税額は約1,700万円に達します。
「全額損金なら最高じゃないか」と感じる方も多いのですが、一点だけ押さえておいてください。解約返戻率が低い、つまり将来的に解約しても手元に戻るお金が少ないということです。
この保険は「今期の税負担を大きく下げる」ことに特化しています。手元資金に余裕があり、毎期多額の利益が出ている会社、または経営者の万一への備えを優先したい会社に向いています。
法人保険節税、3つの注意点
どのタイプを選ぶにしても、押さえておきたいことがあります。
保険設計は必ず顧問税理士と確認する。 損金算入の割合や条件は保険の内容によって細かく異なります。「紹介された通りに契約した」では、意図しない税務処理になるリスクがあります。
出口戦略を最初から考える。 解約時には解約返戻金が益金として計上されます。税負担を先送りしているだけにならないよう、いつ・どのタイミングで解約するかを設計しておくことが重要です。
利益に見合った金額に設定する。 資金繰りを悪化させてまで保険料を払う必要はありません。あくまで利益の範囲内で、無理のない金額にすることが基本です。
法人保険は使い方次第で強力な節税ツールになりますが、「入れば節税になる」という単純な話ではありません。今期の利益規模・キャッシュフロー・将来の資金需要、この3つをセットで考えた上で、自社に合ったタイプを選ぶのが正解です。
まだ法人保険を活用していないなら、決算が近づく前に一度、顧問税理士に相談してみてください。タイミングを逃すと今期は間に合わない、ということになりかねません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。