先日、年商12億の建設会社の社長からこんな相談を受けました。「決算前に手元の利益をどうにかしたい。保険で節税できると聞いたけど、実際のところどれがいいんですか?」
利益が出るようになると、法人保険を検討する経営者が一気に増えます。でも「保険」と一口に言っても、損金算入のルールも解約返戻率も商品によってまったく違います。
今回は、実際に年商10億を超える社長たちが選んでいる法人保険を、保険料の規模感と返戻率の実態も含めてご紹介します。
第3位:長期平準定期保険
法人保険の入門ポジションとも言えるのが長期平準定期保険です。多くの社長が最初に検討するのはここからです。
最大の特徴は、保険料の60%が損金算入できること。たとえば年間1,500万円の保険料を支払うなら、900万円が損金として落とせる計算になります。利益が膨らみやすい決算期前に契約を検討する社長が多いのも、この損金効果が理由です。
解約返戻率は最大85%前後。10〜20年かけて積み立て、役員退職金のタイミングで解約して返戻金を受け取る設計が一般的です。返戻金は法人の雑収入になりますが、退職金として支出すれば会社側の損金にもなるため、退職金プランとセットで設計するのが定石です。
毎年1,000〜2,000万円の保険料を入れている社長に人気で、「利益コントロール」を目的とした使い方が主流。法人保険をまだ1本も持っていないなら、まずここから検討するのが安全です。
第2位:逓増定期保険
続く2位は逓増定期保険。名前の通り「逓増」、つまり解約返戻金が時間とともに増加していく仕組みで、10〜15年後の解約を前提に返戻率90%超を狙える設計が可能な保険です。
中長期で積み立てて、経営者の退職タイミングで一気に回収するのが典型的な使い方です。
ただし、注意が必要なのが2019年の税制改正です。それ以前は損金算入割合が大きく取れた商品が多かったのですが、改正後は保険料と返戻率のバランスによって損金算入割合が細かく区分されるようになりました。「昔聞いた話」でそのまま加入すると、想定していた節税効果が出ないケースがあります。設計書は必ず最新のルールで確認してください。
現在では損金算入メリットよりも「確実に高い返戻率で積み立てられる財務ツール」として使う経営者が増えており、活用の文脈が変わってきています。
第1位:外貨建て終身保険
1位は、年商10億超の社長の間で最も話題になっている外貨建て終身保険です。
解約返戻率は設計次第で95%超を実現できます。なかには年間5,000万円規模の保険料を支払っている社長もいます。「保険料を払いながら、ほぼ同額が手元に戻ってくる」というイメージで使われており、実質的には利率の良い貯蓄手段として活用しているケースが多いです。
とはいえ、外貨建てという性質上、為替リスクは避けられません。ドル建てで積み立てた場合、解約時のレートによっては返戻金の円換算額が想定より目減りすることがあります。特に円高局面でやむなく解約せざるを得ない状況になったときのリスクは無視できません。
この商品は損金算入を大きく取るタイプではなく、財務の「出口戦略」として設計するのがポイントです。解約タイミング・為替ヘッジの方針・キャッシュフロー計画まで含めて、顧問税理士と事前に確認しておくことが必須です。
「保険で節税」は設計が9割
3つの保険を紹介しましたが、共通して言えることがあります。それは「加入すること自体がゴールではない」ということです。
解約返戻率が高い商品でも、出口(解約タイミング)を誤れば法人税が一気にかかります。損金算入できても、会社のキャッシュフローを圧迫するような保険料設定にすれば本末転倒です。
重要なのは、自社の決算状況・資金繰り・役員の退職予定・為替リスク許容度をすべて踏まえた上で設計することです。保険会社の担当者だけでなく、必ず顧問税理士を交えて三者で確認する場を設けてください。
年商が10億を超えてきたタイミングは、法人保険の見直しを真剣に考え始める絶好の機会です。「来期でいいか」とついなりがちですが、決算の数字が確定してからでは動けないケースも多い。利益が見えてきた段階で、早めに動くことをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。