先日、製造業を営む社長から「固定資産税の通知書が届いたけど、なんか高くない?」と連絡がきました。工場と倉庫を数棟持つ会社で、毎年700万円近く払っているとのこと。「市役所が計算したものだから仕方ない」と、これまでずっと払い続けてきたそうです。

ところが、専門家に依頼して評価を精査してもらったところ、床面積の算定に誤りがあることが判明。過去分を含めて約500万円が還付されることになりました。

「仕方ない」と思って払い続けてきた税金が、実は過払いだった——こういうケースが、中小企業の間では決して珍しくありません。

固定資産税は「確定した正解」ではない

固定資産税は、市区町村が独自に算定した評価額をもとに計算されます。そのため、「行政が出した金額だから正しいはず」と思い込んでいる社長が多いのですが、実際には評価に誤りが含まれているケースが少なくありません。

特に問題が起きやすいのが、工場・倉庫・大型商業施設のような事業用の大型不動産です。床面積の算定ミス、減価補正の適用漏れ、増築後の評価替え計算の誤り——こうした問題が積み重なって、気づかないうちに毎年数百万円単位の過払いが発生していることがあります。

保有する不動産の規模が大きくなるほど、過払い額も膨らむ傾向があります。

不服があれば「審査申出」という手がある

固定資産税の評価額に疑問を感じたら、「固定資産評価審査委員会」への審査申出という正式な手続きを使うことができます。地方税法第433条で認められた権利です。

ただし、期限があります。毎年の通知書が届いてから3ヶ月以内というのが原則です。通知書が届くのは通常4〜5月ですから、今まさにその時期を迎えている社長も多いはず。

「なんか高い気はするけど、忙しいし後でいいか」と思っている間に、3ヶ月はあっという間に過ぎます。来年また考えよう、ではなく、今動けるかどうかが分かれ目です。

認められれば最大5年分が戻ってくる

審査申出が認められた場合、過払い分は還付されます。そして注目すべきは、遡及できる期間です。ケースによっては、最大5年分の過払い税額が返還対象になります。

年300万円の過払いが5年続いていたとすれば、合計1,500万円。これだけの金額が返ってくる可能性があるわけです。固定資産税を一度も疑ったことがないという社長がいれば、この機会にぜひ確認してみてください。

まず動くなら「評価証明書」の取り寄せから

実際の手順はシンプルです。

最初のステップは、固定資産評価証明書を管轄の市区町村窓口(郵送やオンライン対応の自治体もあります)で取り寄せること。費用は数百円程度です。

次に、固定資産税に詳しい税理士や不動産鑑定士にその証明書を見てもらいます。評価の誤りは素人目にはわかりにくいため、専門家の目を借りるのが現実的です。誤りが見つかれば、審査申出の手続きへ進みます。

申出が認められた場合は、翌年度以降の税額が是正されるとともに、過払い分の還付を受けられるケースがあります。

今の時期を逃すと、また一年待つことになる

毎年、固定資産税の通知書が届くたびに「今年も来たか」と引き出しにしまっている社長はいませんか。そのまま3ヶ月が過ぎると、次のチャンスは一年後です。

特に工場・倉庫・複数の事業用不動産を持つ会社は、このタイミングで一度専門家に評価の確認を依頼することを強くおすすめします。払いすぎていた税金は、調べなければ永遠に戻ってきません。

通知書がまだ手元にあるなら、今すぐ評価証明書の取り寄せに動いてみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。