先日、年商8億円の建設会社を経営する社長から、こんな連絡が入りました。

「いま使っている節税スキームが、来年の改正でなくなるかもしれないって聞いたんですが、本当ですか?」

その社長が活用していたのは、業界では「3大節税スキーム」と呼ばれるものです。私の答えは「リスクは本物ですよ」——しかも、使っている3つのうち2つが廃止リスクの高いものでした。

2026年の税制改正を控え、規制強化・廃止リスクが現実味を帯びているスキームをランキング形式で整理しました。すでに活用中の社長は、今すぐ顧問税理士との面談を入れてほしいと思います。

第3位:逓増定期保険の損金算入、さらなる縮小リスク

かつては「全額損金で節税の王様」と呼ばれた逓増定期保険ですが、2019年の改正でその時代は終わりました。全額損金算入が廃止され、損金に算入できる割合は保険の種類と最高解約返戻率に応じて細かく制限されています。

問題は、それで終わっていない点です。現在も損金算入割合のさらなる縮小が議論の俎上に上っており、2026年改正でさらに絞られる可能性が残っています。

特に注目すべきは、年間1,000万円を超える保険料を損金算入している法人です。現行ルールを前提とした財務設計が崩れると、決算対策の軸が一気に揺らぎます。「2019年で終わった話」と思っているとしたら、今すぐ認識を改めてください。

第2位:航空機オペレーティングリースの出口リスクと規制強化

1口3,000万円から1億円程度を出資し、数年間にわたって法人税を繰り延べられる仕組みとして、資産規模のある法人オーナーに人気のスキームです。航空機をリース会社に貸し出す特定目的組合に出資し、減価償却費を組合損失として計上する——という構造で動いています。

ただし現在、「組合損失計上への制限強化」が議論されています。この部分が改正されると損失として計上できる金額が圧縮され、節税効果が大幅に薄まります。

さらに、このスキームには「出口リスク」という固有の問題があります。航空機売却時に繰り延べていた税金が一括で戻ってくる構造のため、出口のタイミングを読み誤ると手元資金が一時的に大きく圧迫されます。改正リスクと出口タイミングの両方を管理しながら動かす必要がある、上級者向けのスキームだと理解しておくべきです。

第1位:海外持株会社を使った利益移転スキーム

廃止リスクが最も高いのが、低税率国に海外持株会社を設立して利益を移転する手法です。かつては合法的な節税手段として機能していましたが、状況は大きく変わっています。

OECD主導の「BEPS(税源浸食と利益移転)」対策が世界規模で進む中、日本のタックスヘイブン対策税制(CFC税制)は毎年のように改正されています。実態を伴わない持株会社の設置、事業実体のない子会社への利益集中——こうした構造への税務当局の目は、年々厳しくなっています。

単に「いずれ廃止されるかもしれない」という問題にとどまらず、現時点でのリスク評価が必要な段階です。このスキームを活用中であれば、次の決算を待たずに専門家への相談を急いでください。

「使えるうちに」ではなく「使い続けてよいか」を問う時代

3つのスキームに共通しているのは、「設計時に合法だった」だけでは安心できないという点です。税制は生き物であり、毎年の改正大綱や国会審議の動向次第で要件が変わります。

一つの節税スキームに依存した財務設計は、改正一発でバランスを崩します。複数の手法を組み合わせながら、廃止リスクに応じて段階的に見直していく——これが今の時代に求められる節税の姿勢です。

まず「現在使っているスキームの廃止リスクを評価してほしい」と、顧問税理士に具体的に依頼してみてください。ただ「問題ない」と言われるだけなら、セカンドオピニオンを検討する価値もあります。節税スキームの廃止は、顧問料の何十倍もの損失になることがあるからです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。