「今期、利益が5,000万を超えそうです。どうにかなりませんか?」

こんな相談が、決算の2〜3ヶ月前になると増えてきます。この時期にできる打ち手は限られていて、「もう少し早く動いていれば」と後悔する社長を、毎年何人か見てきました。

でも、年商規模がある程度あって、利益も大きい会社には、もう一段上の選択肢があります。航空機オペレーティングリースという仕組みです。

「航空機って、うちには関係ない話でしょ?」と思った方、少し待ってください。

5億の出資で、4億5,000万円を損金に落とせる

航空機オペレーティングリースとは、複数の法人が共同出資して航空機を購入し、それを航空会社にリースして賃料収入を得る仕組みです。

出資者は、出資額の約90%を初年度の損金として計上できます。たとえば5億円出資した場合、約4億5,000万円が損金になります。

なぜそこまで大きな損金が出るかというと、航空機の耐用年数が関係しています。建物や機械であれば耐用年数が長く、毎年少しずつ減価償却されていきますが、航空機の耐用年数は4〜8年と短い。そのうえ初年度に集中して減価償却費が計上される構造になっているため、出資した年にドカッと損金が生まれるのです。

節税効果を数字で見ると

法人実効税率を約34%で計算すると、4億5,000万円を損金化したときの節税効果は約1億5,000万円になります。

「1億5,000万円の節税」というと、数字が大きすぎてピンとこないかもしれません。言い換えると、「1億5,000万円の現金が、税金として出ていかなくて済む」ということです。

もちろん、出資額の5億円はいったん払う必要があります。ただしリース期間中は賃料収入が入り、最終的に航空会社が航空機を買い取るときに元本が戻ってくる構造です。節税効果込みで考えると、かなり有利な資金活用になります。

出口戦略だけは、必ず設計しておく

ここで絶対に理解しておいてほしいのが、出口のことです。

リース期間は一般的に8〜12年。期間終了後、航空会社が航空機を買い取るタイミングで、今度は売却益が「益金」として法人に戻ってきます。初年度に損金として計上した分が、将来に「利益」として課税される、という構造です。

「結局、税金を後回しにしているだけでは?」という疑問、正しい理解です。でも、これは単なる「課税の繰り延べ」ではなく「タイミングの設計」だと考えてください。

たとえば、10年後に社長が退任するなら、そのときの退職金と益金を相殺できます。大型設備投資の年に益金が来るよう逆算すれば、投資の損金と打ち消しあえます。「いつ、何と相殺するか」を最初に設計しておくことで、この仕組みは本来の力を発揮するのです。

こんな法人に向いている

正直なところ、この仕組みは誰にでも向いているわけではありません。

最低出資額は物件によって異なりますが、節税効果を実感できるのは継続して一定の利益が出ている法人です。「今期だけたまたま利益が大きかった」というケースよりも、「毎年ある程度の税負担が積み重なっている」という会社に向いています。

また、8〜12年というリース期間中、出資した資金は動かせません。手元の流動性がしっかりしていることも、参加の前提になります。一般的には年商10億以上の中堅企業で、当期の課税所得が1億円を超えてくるあたりから、現実的な選択肢として浮かび上がってきます。

動くなら、早めが正解

航空機オペレーティングリースは、決算ギリギリに動いても間に合いません。組成の申し込みには締め切りがあり、人気のリースはすぐに満口になることも珍しくないからです。

決算の3〜6ヶ月前から検討を始めて、税理士と一緒に「いつ益金が来るか」「それを何で相殺するか」を設計しておくのが正しい進め方です。

今期の利益がすでに見えてきているなら、今すぐ担当の税理士に「航空機リースの余地はありますか?」と聞いてみてください。知っているかどうかで、億単位の差がつく可能性がある話です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。