「三原さん、うちはまだ大丈夫ですよね?」

先日、年商8億円の建設業の社長からこんなLINEが届きました。顧問税理士から「今使っている節税が来年には使えなくなるかもしれない」と言われ、慌てて連絡してきたのです。

2026年は税制の転換点です。政府が財源確保を本格化させる中、これまで高収益法人に有利だったスキームが次々と見直しの俎上に載っています。今回は廃止・縮小リスクの高い節税スキームをTop3形式でお伝えします。早めに動けるかどうかで、数百万〜数億円の差が生まれる話です。

第3位:経営セーフティ共済

もともと取引先の倒産から中小企業を守るための制度ですが、掛金を全額損金に算入できることから節税目的での利用が広がっていました。月最大20万円、年間240万円まで積み立てられ、「利益の多い年に加入して損金を増やし、翌年すぐ解約して解約手当金を受け取る」という使い方が長年行われてきました。

ところが2024年の改正で、解約後2年間は再加入できないルールが加わりました。即日節税の抜け道は事実上封じられた形です。さらに政府内では制度の縮小や要件の厳格化に向けた議論が続いています。

年間240万円の損金メリットをまだ活用していない会社は、制度が現行のうちに計画的に使い始めるのが得策です。「いつでも使える」という前提は、もう成り立ちません。

第2位:事業承継税制の特例措置

後継者に自社株を贈与・相続する際、本来なら数億円の税負担が発生するケースがあります。それをほぼゼロにできるのが、事業承継税制の特例措置です。適用要件を満たせば、株価の高い中小企業の自社株を次世代に引き継ぐ際の相続税・贈与税が猶予・免除されます。

ただし、この特例には明確な期限があります。「特例承継計画」を都道府県知事に提出できるのは2027年3月末まで。計画の策定から認定、実際の承継手続きまでを逆算すると、本格的に動けるのは2026年が実質ラストです。

「後継者はまだ決まっていない」「株価算定もまだ」という会社ほど危険信号です。この制度を使い損ねると、億単位の税負担が後継者にのしかかります。まず税理士に相談する日程を入れることから始めてください。

第1位:航空機・船舶オペレーティングリース

高収益法人が億単位の節税に活用してきたスキームです。航空機や船舶のリース事業に出資することで、出資額の大半を初年度〜数年間で損金計上できます。単なる繰り延べではなく、実質的な節税になるケースも多く、年商数十億以上の企業オーナーを中心に根強い需要がありました。

現在、政府はこのスキームへの規制強化を本格的に検討しています。具体的な改正時期や内容はまだ確定していませんが、「縮小・廃止の方向」で議論が進んでいることは間違いありません。

既に出資しているケースでは、既存スキームへの影響を今すぐ顧問税理士に確認してください。新規で検討している場合は、判断できる時間が残り少ないと思ってください。改正が決まってから動いても、間に合わないのがこのスキームの特性です。

「まだ大丈夫」が一番高くつく

冒頭の社長にお伝えしたのは、「今期中に税理士と具体的なスケジュールを決めてください」という一言でした。制度の廃止・縮小タイミングは政府が決めるものであり、「周知期間があるはず」という楽観論が通じないケースは過去にいくつもあります。

使える制度を棚卸しして、顧問税理士と「いつまでに・何を・どう動くか」を確認しておく。それだけで、数百万から場合によっては数億円を守れる可能性があります。2026年が終わる前に、一度確認の場を設けることを強くおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。