先日、ある社長からこんな連絡が来ました。「うちの税理士から『来年度からこの節税は使えなくなる』と言われたんですが、本当ですか?」\n\n急いで確認してみると、確かに2026年〜2027年にかけて、これまで多くの中小企業オーナーが活用してきたスキームがいくつか「期限切れ」または「廃止リスク」を迎えようとしています。\n\n「知らなかった」では取り返しのつかない話になることもあります。今回は、特に注意が必要な3つのスキームをランキング形式でお伝えします。\n\n## 第3位:賃上げ促進税制——2026年度が”実質ラスト”\n\nまず押さえておきたいのが、賃上げ促進税制です。\n\n前年比1.5%以上の給与総額を増やした場合、その増加額の最大45%を法人税額から直接差し引ける制度です。「所得控除」ではなく「税額控除」なので、インパクトはかなり大きい。年間の給与増加額が1,000万円なら、最大450万円を法人税からそのまま引けるイメージです。\n\n適用期限は2027年3月末。つまり、2026年4月〜2027年3月の事業年度が実質的なラストチャンスになります。3月決算の会社なら2027年3月期が最後です。\n\n注意が必要なのは、「給与を増やすだけで自動適用される」わけではないという点です。計算の対象となる給与の範囲や、継続雇用者の要件など、細かい条件が存在します。適用できると思っていたのに決算後に「実は対象外だった」となるケースも少なくありません。今から税理士と要件確認しておくのが得策です。\n\n## 第2位:事業承継税制の特例措置——計画提出の窓口はもう閉じた\n\n次は、資産家・後継者問題を抱える経営者に関わる話です。\n\n事業承継税制の特例措置は、後継者への株式の贈与・相続に課される税金が最大100%猶予されるという、非常に強力な制度です。会社の株式評価額が高い会社ほど、その恩恵は計り知れません。\n\nただし、この特例には2つの期限があります。\n\nひとつ目は「特例承継計画の提出」で、これはすでに2026年3月末で締め切られました。つまり、今から新規に特例を使おうとしても、入口の申請自体ができない状態です。\n\nふたつ目は「贈与・相続の実行期限」で、こちらは2027年12月末まで。特例承継計画を提出済みの会社は、この期限までに実際の株式移転を完了させる必要があります。\n\n「計画だけ出して、実行はまだ先でいいか」と考えていた方は、残り1年半という時間軸を改めて意識してほしいところです。担当の専門家と具体的なスケジュールを引いておく段階に来ています。\n\n## 第1位:オペレーティングリース(JOLCO)——規制強化の足音が近い\n\nそして、最も注視すべきスキームがオペレーティングリース、通称JOLCOです。\n\n航空機や船舶などの大型資産に匿名組合として出資し、初年度に出資額の50〜70%を損金算入できる課税繰延スキームです。1億円出資した場合、最大7,000万円を初年度の損金として計上できる計算になります。利益が大きく出た年に「一時的に税負担を下げたい」という社長に長年使われてきた手法です。\n\n近年は規制強化に向けた議論が急速に進んでいます。租税回避防止の観点からこの種の匿名組合スキームへの目が厳しくなっているのは確かで、「いつ使えなくなるかわからない」という不確実性が高まっています。それが1位に選んだ理由です。\n\nすでにポジションを持っている方も、新規で検討している方も、今の状況を担当の税理士と必ず確認してください。スキームの存続可否だけでなく、出口戦略まで含めて整理しておく必要があります。\n\n## 「いつかやろう」が一番コストが高い\n\n3つのスキームに共通するのは、「知っていれば準備できたのに」という話が多い、という点です。\n\n税制改正は毎年あり、使えると思っていた制度が突然変わることもあります。特に今回挙げた3つは、2026〜2027年にかけて明確な期限や廃止リスクを抱えています。決算が近い方は特に、今すぐ自社の適用状況を確認することをおすすめします。\n\n「うちは関係ない」と思っていても、気づいたら期限が過ぎていたというのが、節税で一番もったいないパターンです。\n\n※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。
関連記事
2026年に消える節税スキームTop3【法人向け】
2026年が実質ラストイヤーの法人節税スキームが3つあります。経営セーフティ共済・事業承継税制・オペレーティングリースの廃止リスクと今すぐ取るべき行動を解説しま...
承継税3億を5手で消す節税スキーム【2027年期限あり】
会社評価額10億なら相続・贈与税は3億超。株価圧縮×持株会社×種類株式×事業承継税制特例を組み合わせた5手スキームで承継税をゼロに近づける方法を解説します。...
10億円の株が非課税に?事業承継税制で知るべき3条件
事業承継税制を正しく使えば、10億円超の自社株にかかる相続税・贈与税をゼロにできます。見落としがちな3つの条件と出口設計の落とし穴を解説します。...