先日、ある社長からこんな相談を受けました。
「決算まであと2週間なのに、法人税の納付額を見て頭が真っ白になった。今から何かできることはあるか」
年商13億円の食品卸売業を営む50代の社長でした。純利益はしっかり出ている。だからこそ、法人税の額が毎年重くのしかかってくる。「毎期ちゃんと利益を出しているのに、結局そのほぼ半分が税金に持っていかれる感覚がある」とおっしゃっていました。
その社長に私が紹介したのが、「オペレーティングリース」を使った節税スキームです。
税務署が積極的には教えない、合法的な節税の選択肢
法人税の節税策というと、小口の経費計上や生命保険の活用を思い浮かべる方が多いと思います。でもそれらは、利益が大きくなればなるほど効き目が薄くなっていきます。
年商10億を超えてくると、効果が体感できる節税策は限られてきます。その中でも、実務でしっかり機能している有力な選択肢がオペレーティングリースです。
具体的には、航空機や船舶などの大型資産をリースするSPC(特別目的会社)に「匿名組合員」として出資するスキームです。難しそうに聞こえますが、仕組みの骨格はシンプルです。
なぜ初年度に大きな損金が生まれるのか
オペレーティングリースでは、出資したSPCが航空機や船舶を購入し、それを航空会社や海運会社などにリースします。SPCは税務上、組合の損益を出資比率に応じて各組合員に配分します。
ここがポイントです。
航空機や船舶は購入直後の減価償却が非常に大きくなります。1年目は特に、会計上の損失が出資額に対して非常に大きな割合になるケースがある。その損失が匿名組合員である御社の損金として計上できるのです。
実際の数字で見ると、出資額5〜6億円規模であれば、初年度に出資額の50%を超える損金が生まれることがあります。実効税率34%で計算すると、法人税の圧縮額は1.7〜2億円近くになります。
「そんなに大きな節税が本当にできるのか」と驚かれる社長も多いですが、これは脱税ではなく、税制の仕組みを正しく活用した合法的な節税です。国も制度として認めている手法です。
決算日を過ぎたら、その年は終わり
ただし、この節税スキームには絶対に外せない条件があります。
決算日、つまり3月決算の会社であれば3月31日までに「契約の締結」と「初回の出資金の支払い」が完了していなければ、今期の損金計上はできません。
4月1日に「申し込みを入れた」では間に合わないのです。
毎年3月中旬以降になると、問い合わせが急増します。でもその時点で案件の枠が埋まっていることもある。オペレーティングリースは募集枠が限られており、需要が高い3月決算前は特に競争が激しくなります。「もっと早く知っていれば」という後悔をする社長が毎年出てくる、というのが現実です。
向き・不向きがある。こんな会社が使いやすい
このスキームを活用しやすい会社には、いくつかの共通点があります。
- 年商10億円以上で、安定的に利益が出ている
- 今期の課税所得が3〜5億円以上になりそう
- 5〜6年後に出資金の回収(=益金算入)が見込める財務体力がある
最後の点は見落とされがちですが重要です。オペレーティングリースは、出資期間が終了するとリース資産が売却され、そのとき利益が発生します。つまり「今期の節税」と引き換えに、数年後に課税が発生する仕組みです。
これは課税の繰り延べであり、永続的な節税ではありません。ただ、「今の高税率の年に納税額を圧縮し、5年後の別の事業年度に課税を分散させる」という考え方で、多くの会社にとってメリットのある選択肢になります。
信頼できる専門家を通じて動くことが絶対条件
このスキームを扱っている金融機関や専門会社はいくつかあります。ただし、中には手数料が不透明だったり、リスク説明が不十分な業者も存在します。
初めて検討する場合は、必ず顧問税理士を通じて判断してもらうことをおすすめします。スキームの内容を理解していない税理士も多いので、「オペレーティングリースに詳しい専門家を紹介してほしい」と依頼するところから始めるのが安全です。
3月決算の会社は今がまさに検討のタイムリミットです。「来期でいいか」という先送りが、毎年2億円規模の機会損失になっているかもしれません。今期の利益予測が固まった段階で、すぐに動き始めることをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。