3月末が近づくと、毎年のように同じ相談が届きます。「税理士さん、今から何かできることありますか?」と、少し焦った様子の社長から。\n\n実は、3月決算の会社にとって、この時期こそが節税の”最後のチャンス”です。しかもやり方によっては、1億円規模の節税も決して夢ではありません。\n\n今回は、3月決算法人だけが使える節税スキームを3つ、インパクトの大きい順にご紹介します。\n\n## 第3位:大型設備の「前倒し取得」── 翌期の計画を今期に繰り上げる\n\n翌期に設備投資を予定しているなら、3月末までに前倒しで取得・稼働させることを検討してみてください。それだけで、設備の取得額を今期の損金として計上できます。\n\n1,000万円の設備なら、実効税率34%で計算すると約340万円の節税です。翌期に先送りするだけで、その分の税金を今期に余分に払うことになってしまいます。\n\nただし「購入した」だけでは不十分で、3月末までに実際に事業で使い始めた状態――つまり「事業供用」まで完了させる必要があります。発注から搬入・稼働までのスケジュールを逆算して組んでおきましょう。\n\n翌期の資金繰りへの影響も必ず確認してください。今期に引き上げることで、翌期の投資余力が縮まるケースもあります。\n\n## 第2位:航空機オペレーティングリース── 今期の利益を最大90%消す\n\nオペレーティングリースの節税効果を知っている社長は増えてきましたが、3月末に出資締切の案件が集中することは、意外と知られていません。\n\n仕組みはシンプルです。航空機や船舶のリース事業に出資すると、初年度に出資額の60〜90%が損金として算入できます。5,000万円を出資した場合、最大で4,500万円が今期の損金になる計算です。\n\nただし、リース満期の出口時には、損金算入した分が益金として戻ってきます。ここを見落とすと、数年後に大きな課税が発生します。\n\n最も相性がいいのが、役員退職金との組み合わせです。リースが満期を迎える5〜8年後のタイミングに退職金の支給を合わせることで、戻ってきた益金をそこで相殺できます。単体ではなく、長期的な節税設計の中に位置づけることで、はじめて真価を発揮するスキームです。\n\n## 第1位:役員退職金の決算前支給── 双方にメリットがある最強の節税\n\n節税インパクトで最も強力なのが、役員退職金の支給を今期の決算前に行う方法です。\n\n長期在籍の役員がいる会社なら、最終月額報酬×在籍年数×功績倍率(通常2〜3倍)で算定した退職金を、今期の損金として計上できます。月額報酬100万円、在籍30年、功績倍率3倍なら、退職金は9,000万円。これが丸ごと今期の損金に落ちます。\n\nしかも、受け取る役員側にも大きなメリットがあります。退職所得には退職所得控除が適用され、さらに2分の1課税という優遇税制があるため、同じ金額を給与で受け取る場合に比べて、手取りが大幅に増えます。会社の税負担が減り、個人の手取りも増える──この双方向のメリットが、退職金節税が”最強”と言われる理由です。\n\n一点、絶対に外せない注意点があります。功績倍率の「合理的な根拠」を書面で整備しておかないと、税務調査で全額否認されるリスクがあります。同業他社の水準や過去の裁判例をもとに、倍率の根拠を事前にきちんと準備しておくことが必須です。ここは顧問税理士と二人三脚で進めてください。\n\n---\n\nこの3つのスキームに共通するのは、「3月末」という動かせない期限があること。特に役員退職金は、株主総会での決議や支給手続きなど、準備に一定の時間がかかります。\n\n3月中旬を過ぎていたとしても、まずは顧問税理士に「今から間に合うか」を確認するところから動いてみてください。手を打てるかどうかは、動き出した瞬間に決まります。\n\n※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。
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