先日、製造業を経営している知人の社長から、こんな連絡が来ました。「税理士に『先週動いてくれていれば…』と言われた。まさかそんなに変わるとは思ってなかった」と。
3月決算の会社にとって、3月末は「節税の最終締め切り」です。この時期を1日でも過ぎてしまうと、何百万・何千万円という税金をそのまま納めることになります。今週が、文字どおり最後のチャンスです。
まだ間に合います。今すぐ動ける節税アクションを3つ、順に紹介します。
第3位:決算賞与の「未払計上」
「賞与は払った月の経費になる」と思っていませんか? 実は、一定の要件を満たせば、支払い前でも今期の損金として計上できます。
必要な手順はシンプルです。期末までに従業員全員に支給予定額を書面で通知し、取締役会で正式に決議する。そして期末から1ヶ月以内、つまり4月末までに実際に支払う。この3つを守れば、「未払賞与」として今期の経費になります。
賞与総額が5,000万円なら、実効税率34%の計算で約1,700万円の節税です。「うちはそんな大きな賞与じゃない」という方も、数百万円規模でも十分に効果があります。
注意したいのは、「全員への通知漏れ」と「1ヶ月以内の支払い」のどちらかが崩れると、全額が否認されるリスクがある点です。一人でも通知を忘れた、5月にずれ込んだ、となると元も子もありません。段取りは今日中に始めましょう。
第2位:未払費用・修繕費の前倒し計上
「3月中に請求書が届いていれば、今期に落とせる」——これを知らずに損している社長が、意外と多いです。
外注費・顧問料・修繕費など、期末前に役務の提供が完了しているものであれば、実際の支払いが翌月以降でも今期の損金に計上できます。大型の設備修繕や工場のメンテナンスなら、一件で数千万円規模の損金になることもあります。
ここで一つ、必ず確認してほしいことがあります。それは「修繕費」として一括計上できるのか、「資本的支出」として減価償却が必要なのか、という区分の問題です。判断基準が曖昧なまま処理すると、後から追徴課税になるケースがあります。
今すぐ未払いの請求書を手元に集めて、顧問税理士に「これ、今期に落とせますか?」とリストを送ってみてください。費用ゼロで今日できる、最初の一手です。
第1位:オペレーティングリース
航空機や船舶などの大型資産をリース会社が購入する際に出資し、初年度の大きな損失を「今期の損金」として取り込む——それがオペレーティングリースの仕組みです。
1億円の出資で数千万円の損失計上、実効税率34%で換算すると節税額が1,000万円を超えるケースもあります。利益が大きく出ている年度の、最後の切り札として使われることが多い手法です。
ただし、絶対条件が一つあります。3月31日までに契約書への署名・捺印が完了していること。4月1日になった瞬間、今期への適用はゼロです。「週明けでいいか」が命取りになります。
もう一点、正直に伝えておきます。オペレーティングリースは損失の「先取り」であり、将来の解約・売却時には利益が発生します。節税効果だけで飛びつくのではなく、キャッシュフローや出口戦略まで含めて、専門の税理士としっかり確認してから判断してください。
3月決算の社長にとって、今週は本当に「最後の砦」です。決算賞与の準備・未払費用の洗い出し・オペレーティングリースの問い合わせ——どれも期末を過ぎたら使えなくなります。
まずは今日、顧問税理士に「今週中にできる節税、何かありますか?」と一本連絡してみてください。それだけで、今期の税負担が数百万円単位で変わることがあります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。