先日、ある社長からこんな相談を受けました。「税務調査が終わって、追徴が3,000万円を超えてしまった。顧問税理士には500万円程度と言われていたのに」と、青ざめた顔で話してくれたんです。

話を詳しく聞いてみると、原因は調査中に社長が口にしたある一言でした。それが調査官に「意図的な隠ぺいがあった」と判断させるきっかけになってしまったのです。

実は、税務調査には「言った瞬間に流れが変わる」NGワードがあります。知らずに口にしてしまう社長が後を絶ちません。今日はその5つをお伝えします。

調査官が本当に狙っているもの

税務調査官が求めているのは、単純な申告ミスではありません。「悪意があったかどうか」の証明です。

なぜかというと、悪意があると判断されると、通常の過少申告加算税(10〜15%)ではなく、**重加算税(35%)**が課されるからです。追徴額に35%が乗るだけで、数百万円の差が一気に数千万円になることもある。

さらに、隠ぺい・仮装と認定されると、調査対象期間が最長7年に延びます。7年分の申告をすべて掘り返されるわけですから、ダメージは計り知れません。

そして調査官がその証拠として最も重宝するのが、社長本人の言葉なのです。

絶対に口にしてはいけない5つのワード

① 「たぶんこうです」

記憶が曖昧なときについ出る言葉ですが、これは「管理がずさんだった」という印象を与えます。不確かなことは「確認して後日回答します」と伝えるのが正解です。その場で無理に答えようとしないことが大切です。

② 「実は他にも口座があります」

誠実に答えようとするあまり、自分から情報を提供してしまうパターンです。聞かれていないことを自発的に話す必要はありません。この一言で、調査対象がいきなり広がります。

③ 「私が自分で判断しました」

経費計上についての判断を一人で行ったと言うと、「組織的な問題ではなく本人の意図によるもの」と見なされるリスクがあります。責任の所在を個人に帰してしまうほど、重加算税の認定に近づきます。

④ 「全部プライベートです」

経費として計上していたものを調査官に問われ、とっさに「プライベートです」と言ってしまうケースがあります。これは申告との矛盾を自ら認めることになり、一気に疑惑が深まります。

⑤ 「昔からずっとそうしてきました」

「慣習だから」という説明は、「ずっと誤った処理をしてきた」という自白にも聞こえます。過去7年分まで遡って調査される根拠として使われることがあります。

調査を受ける前に必ずやること

税務調査の連絡が来たら、まず顧問税理士に連絡を取ることが最優先です。これは当然のことに聞こえますが、「調査当日の朝に初めて連絡した」という社長も実際にはいます。

事前に税理士と「立会いの方針」をすり合わせておくことが重要です。どの質問にどう答えるか、答えにくい場合はどう対応するか——これを決めておくだけで、調査の結果は大きく変わります。

調査中の基本姿勢は「聞かれたことだけに答える」です。余計な情報は絶対に提供しない。善意で話せば話すほど、調査官にとって有利になってしまうのが税務調査の怖いところです。

もし税務調査の経験が豊富でない顧問税理士しかいない場合は、調査対応に特化した専門家への相談も選択肢に入れてください。

一言の違いが数千万円の差を生む——そのことを知っているだけで、あなたの対応は確実に変わります。調査の連絡が来たとき、慌てず、話し過ぎず、まず税理士に連絡することを今すぐ頭に入れておいてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。