先日、年商3億円の建設会社の社長からこんな連絡がきました。「税理士に言われてずっとやってきた節税、全部ダメになるって本当ですか?」という内容でした。

答えは、「全部ではないけれど、定番の3つは確実に使いにくくなっています」。

2026年は、社長が長年信頼してきた節税手法に大きなメスが入る年です。改正の内容を知らないまま決算を迎えると、想定外の税負担が待っているかもしれません。今回は特に注意が必要な3つのスキームを、影響の大きい順にお伝えします。

第3位:タワマン節税の実質封鎖

かつては「1億円のタワマンを2000万円の評価で相続できる」と言われたタワマン節税。富裕層の間では定番の手法として広く使われてきました。

2024年1月から施行された新通達で、評価額と市場価格の乖離が著しい物件——具体的には評価水準が0.6未満のケース——は、市場価格の60%水準まで補正されることになりました。

これによって「億ションを数千万円の評価で相続」という従来の大幅な圧縮スキームは、実質的に封じられています。すでに購入済みの方は現在の評価額を専門家と確認することが先決ですが、2024年以降に新規で組む手法としてはほぼ機能しないと考えておくべきでしょう。

第2位:法人保険の課税繰延

一時期「節税の王道」と言われた法人保険。解約返戻金のピーク時に保険料の大部分を損金に落とせる使い方で、多くの中小企業が活用してきました。

ただし2019年の通達改正で、この旨みはすでに大幅に削られています。そこへ2026年4月からさらに追い打ちがかかります。防衛特別法人税の導入です。

基準となる法人税額から年500万円を控除した後に4%が追加課税される仕組みで、課税ベースが大きい会社ほど影響が出ます。「損金算入でトントン」という試算をしていた場合、この追加課税を加味すると実質的なメリットがほぼ消えるケースもあります。既契約の見直しも含めて、一度試算し直す価値があります。

第1位:海外オペレーティングリース

最も注意が必要なのが、海外オペレーティングリース(HOL)です。

航空機や船舶などを対象にした仕組みで、出資した年に大きく損金を計上でき、何千万円もの課税繰延が可能として、資産規模の大きい会社に広まってきました。

ところがここ数年、当局による否認事例が急増しています。しかも単に「今後は使えない」だけでなく、過去に遡って否認されるリスクも現実のものになっています。すでに出資している場合でも安心できない状況です。

2026年以降も規制は厳しくなる方向で、新規での活用は相当慎重に判断が必要です。税理士による最新の見解なしに動くのは危険と言わざるを得ません。

「崩壊」したあとに何が残るか

定番の節税が封じられると聞くと、「もう手がない」と感じるかもしれません。でも実際にはそうではありません。

役員報酬の設計、退職金の活用、経営セーフティ共済、少額減価償却の特例——こうした「地味だけど確実」な手法は、今回の改正の影響を受けずに今も有効です。話題のスキームに乗っかるより、会社の実態に合った地に足のついた節税を積み重ねる方が、長期的には確実に手残りが増えます。

今一度、顧問税理士と「2026年以降の節税プラン」を見直してみてください。すでに使っているスキームがグレーゾーンに入っていないか確認するだけでも、大きなリスクヘッジになります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。