先日、設備投資の多い製造業の社長から、こんな相談をいただきました。

「固定資産税って、毎年何百万円も払っているんですが……そんなものですよね?」

その方の納税通知書を拝見したとき、私は思わず聞き返してしまいました。「この評価額、一度でも確認されたことはありますか?」

固定資産税は「言い値」で払っている法人がほとんど

固定資産税は毎年1月1日時点の所有資産に対して課税されます。税率は1.4%——この数字自体は法律で決まっていますが、問題は「何に対して1.4%をかけるか」、つまり評価額の部分です。

この評価額を計算するのは自治体です。そして、その算定にはミスが珍しくないのが現実です。機械設備の減価計算が正確に反映されていなかったり、建物の評価額が実態よりも大幅に高くなっていたりするケースが、全国の法人でたびたび起きています。

ほとんどの法人は、届いた納税通知書をそのまま受け取って支払っています。「自治体が計算してくれているなら正しいはず」という前提で、評価額を一度も精査したことがない——これが実に多い実態です。

評価額が3億円違うと、毎年500万円近い差が生まれる

少し具体的な数字で考えてみましょう。

仮に、自治体が算定した評価額が実態よりも3億5,000万円分高かったとします。税率1.4%をかけると、その差額だけで約490万円。毎年490万円を、余分に払い続けている計算になります。

「そんな大きな誤差が出るのか」と思われるかもしれませんが、設備の多い製造業、複数の店舗を展開する小売業、不動産を多く所有する法人では、評価対象の資産が多いぶん、誤差の積み重ねも大きくなります。1つひとつは小さなミスでも、設備が数十台・数百台あれば、合計すると億単位の評価誤差が生じることがあります。

「うちはそこまでじゃないだろう」と思っているうちに、何年分もの過払いが積み上がっているケースは、決して珍しくありません。

異議を申し立てられるのは「3年に1度」だけ

固定資産税の評価替えは、3年に1度だけ行われます。この評価替えの年度に、「固定資産評価審査申出」という手続きを利用することで、自治体の評価額に対して正式に見直しを求めることができます。

ただし、期限は厳しいです。納税通知書が手元に届いてから3か月以内に申し出なければなりません。「通知書が来たけど、今月は忙しいから後で……」と先延ばしにしているうちに期限を過ぎてしまうと、次の評価替えまで丸3年待つことになります。

次の評価替え年度がいつかは自治体によって異なりますが、まずそこを把握しておくだけでも大きな違いがあります。

実際にどう動けばいいか

手順としては、まず現在の固定資産税の課税明細書を確認するところから始まります。毎年届く納税通知書に同封されているあの書類です。

そこに記載されている各資産の評価額が、適切な計算によって算出されているかどうかを検証します。機械設備であれば、取得年度・耐用年数をもとにした減価が正しく反映されているか。建物であれば、構造・用途・築年数に応じた評価基準が適切に使われているか。こうした専門的な検証は、固定資産税に詳しい税理士や専門家と連携して進めるのが現実的です。

評価額の誤りが認められれば、過去に払いすぎた分の還付を受けられる可能性があります。審査の結果、数百万円単位の還付が出た事例は決して珍しくありません。

「払うもの」と思い込むだけで、毎年数百万円が消えていく

税金は正しく計算されて初めて適正な負担になります。自治体が算定した評価額を鵜呑みにせず、「これは本当に正しいのか」と確認する権利が、納税者にはあります。

特に、工場・倉庫・大型設備を持つ法人、ここ数年で拠点を増やした法人の社長には、ぜひ今期中に顧問税理士へ一言声をかけてみてください。「固定資産税の評価額、一度確認してもらえますか?」——この一言が、年間数百万円の節税につながる入口になるかもしれません。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。