先日、飲食チェーンを経営している社長から、こんな相談を受けました。

「役員用の車、個人で買うか法人で買うか迷っているんですよ。どっちが得ですか?」

答えは一択です。法人名義で買ってください。

社用車にすると、何が経費になるのか

法人名義の社用車は、関連するコストをまるごと損金として計上できます。具体的には、自動車税・自動車保険料(任意保険含む)・ガソリン代・ETC料金・月極駐車場代・車検・修理費用、これがすべて対象です。

ざっくり合計すると、年間150万円を超えることもめずらしくありません。法人の実効税率を34%で計算すれば、それだけで年間50万円超の節税になる計算です。

個人所有のままなら、これらはすべて税引き後のお金から払い続けることになります。同じ車に乗るなら、法人名義にするだけで手元に残るお金がまったく変わってくるわけです。

中古の高級車が「最強の節税ツール」になる理由

ここからが、税務署が積極的には教えてくれない話です。

新車でも経費にはなりますが、減価償却の期間が長い。ベンツやレクサスのような普通乗用車は法定耐用年数が6年なので、1,000万円の車でも6年かけて少しずつしか損金に落とせません。

ところが、初年度登録から4年超が経過した中古車の場合、計算上の耐用年数がわずか2年になります。計算式は「法定耐用年数6年 × 20% = 1.2年 → 切り上げて2年」です。

つまり、1,000万円の高級車を中古で取得すれば、最短2年で全額損金に落とせる。決算前のタイミングで購入すれば、その期だけで数百万円の損金が発生します。節税額にして170万円超になることもあります。

5年落ちのポルシェやベンツが経営者の間でひそかに人気な理由、これで納得いただけると思います。

「プライベートでも使う」は問題ない、でも記録だけは残す

「自宅と会社の往復にも使うんですが、それでも全額経費にできますか?」という質問もよく受けます。

実務上は、全額ではなく業務使用割合で按分するのが正しいやり方です。「週5日のうち4日は業務で使う」なら80%を損金算入するイメージです。100%経費にしたいなら、それに見合った実態が必要になります。

税務調査で確認されるのは、その按分比率の根拠です。一番シンプルな方法は走行距離の記録です。月に一度でいいので、業務走行と私用走行のキロ数をメモしておく。Googleマップのタイムラインや車載ナビのログを使っているオーナーも増えています。手間は最小限で、いざというときの証拠になります。

節税効果が大きい分、落とし穴もある

気をつけておきたい点も二つあります。

ひとつは、形式だけ法人名義で実態が個人所有のケース。会社の住所近くに駐車場があるか、保険契約者が法人になっているか、こうした実態の整合性が崩れると否認されるリスクがあります。

もうひとつは、高すぎる車は交際費と認定されることがあるという点。排気量や価格によっては「業務上必要か」という観点で調査が入ることもあります。購入前に税理士と相談して、車種と金額のバランスを確認しておくのが賢明です。


会社の車を「乗れればいい」で選んでいるなら、今期の決算前に一度見直してみてください。中古高級車の早期償却は、まだ活用していない経営者が多いです。顧問税理士に「4年超の中古車を検討しているんですが」と一言伝えるだけで、話が動き出すはずです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。