毎年6月、社長のもとにある封筒が届きます。住民税の特別徴収税額通知書です。
「今年も高いな」と眺めながら、何もしないまま次の仕事に戻っていませんか?
先日、年商3億円の不動産会社を経営するオーナー社長から「毎年200万以上払ってるのに、何か手が打てないのか」と相談を受けました。話を聞いてみると、設立当初に決めた役員報酬をずっと据え置いたまま、節税の手も打っていなかったのです。
住民税通知が届いた今こそ、来年の通知額を変えるためのスタート地点です。今回は、受け取った瞬間から動いてほしい対策を3つお伝えします。
まず知っておきたい「後払い」という構造
住民税には所得税とは決定的に異なる特徴があります。それは「前年の所得に対して翌年課税される」後払い構造です。
今月届いた通知書に書かれている金額は、2025年の所得をもとに計算されたものです。その金額をいまさら下げる方法はありません。
しかし、来年届く通知書の金額なら、まだ変えられます。今期中に動く理由はここにあります。
3位:役員報酬を「今期中に」見直す
「うちの役員報酬、設立時のままかも」という社長、実は少なくありません。
役員報酬は税務上「定期同額給与」として扱われ、期の途中で自由に変更することは原則できません。損金として認められるのは、事業年度開始から3ヶ月以内に行った改定に限られます。つまり、次の期が始まったらすぐに動かないと、1年間チャンスが消えます。
報酬を下げすぎると個人の生活資金が不足し、上げすぎると所得税・住民税が一気に膨らみます。法人に残す利益と個人に引き出す報酬のバランスを、税率シミュレーションをしながら最適化するのが基本です。
年収ベースで500万〜1,000万円の調整余地がある社長なら、来年の住民税通知が数十万円単位で変わることも珍しくありません。
2位:持株会社スキームで「所得を分散」する
オーナー社長が個人で受け取る配当には、最大で約55%(所得税+住民税)の税率がかかります。
これを持株会社(ホールディングス)経由にすると、受取配当金の益金不算入制度を活用できます。子会社から受け取る配当の大部分が法人税の課税対象外になる仕組みで、実効税率を大幅に引き下げられます。
たとえば年間1,000万円の配当を個人で受け取っていた場合、最高税率が適用されれば550万円近くが税金に消えます。持株会社経由にすると法人実効税率(約30%)で済む上に、益金不算入でさらに負担が下がる可能性があります。
注意点は、設立や株式移転に一定の費用と手間がかかること、保有株式の割合によって適用条件が異なることです。すでに複数法人を持っているオーナーや、設立から数年が経ち利益が安定してきた会社に特に効果的なスキームです。
1位:大型節税スキームを「今期中に」契約する
3つの対策の中でインパクトが最も大きいのが、オペレーティングリースや不動産SPCなど、億単位の損金計上を可能にするスキームです。
オペレーティングリースとは、航空機や船舶などの高額資産をリース組合と共同購入し、その減価償却費を初年度に集中計上する仕組みです。1口3,000万〜1億円規模の出資で、出資額の8〜9割を初年度の損金として計上できるスキームも存在します。課税所得が高い社長にとっては、1年で数千万円単位の節税が見込めます。
ただし重要な理解が2点あります。
1つは「繰延課税」であること。初年度に損金計上した分は、将来のリース終了時に益金として戻ってきます。節税の「先送り」であって消滅ではないため、出口も含めた長期視点で設計する必要があります。
もう1つは、良い条件の枠は早々に埋まることです。住民税通知を受け取ってから動き始め、年末に「枠がない」と言われるケースは毎年起きています。6月に気づいたなら、7月には専門税理士に相談を入れておくのが理想です。
通知書は「節税の号砲」
6月の住民税通知書はただの請求書ではありません。来年の負担を変えるための出発点です。
役員報酬の見直しは次の期首から、持株会社の検討は今すぐ、大型スキームの契約は早いほど有利。この3つを今月中に税理士に相談してみてください。
「うちの税理士、こういう積極的な提案をしてくれない」と感じている方こそ、節税専門家へのセカンドオピニオンを検討する価値があります。通知書の金額が大きいほど、動く理由もそれだけ大きいということです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。