6月になると、ある社長からこんな連絡が届きます。
「また住民税の通知書が来た。今年も払うしかないのか……」
気持ちはよくわかります。金額を見ると、胃が痛くなる。でも実は、その通知書を見て「来年はこうしよう」と動き出せる社長と、ため息をついて終わりにする社長では、数年後の手元資金が大きく変わってきます。
住民税通知書は「過去の請求書」である
6月に届く住民税の通知書は、前年の所得に対して計算されたものです。つまり今年届いた通知書に書かれた金額は、もう変えようがない。これは事実です。
ただ、ここで思考を止めてしまうのがもったいない。大切なのは「今年の所得をどう設計するか」です。今年うまく動けば、来年6月に届く通知書の金額を大幅に下げることができます。
住民税の税率はおよそ10%。個人の課税所得を5,000万円圧縮できれば、500万円の節税は計算上ありえる数字です。もちろん全員に当てはまるわけではありませんが、年収1億円を超えてくる社長にとっては、十分に現実的な話になります。
社長が使える3つのアプローチ
具体的にどんな手法があるのか、代表的なものを紹介しましょう。
① オペレーティングリースと役員報酬の最適化
法人で航空機や船舶などのオペレーティングリースを組むと、初年度に大きな損金が落ちます。法人の利益を圧縮したうえで、役員報酬の水準も見直すことで、個人の課税所得を設計的にコントロールできます。単に報酬を下げるだけでなく、「何をいくら落とすか」を組み合わせる発想がポイントです。
② 持株会社を使った利益の法人留保
個人に所得が集中しているオーナー社長に有効な手法です。持株会社スキームを整えることで、事業会社の利益を法人内に留保しながら、個人に出てくる所得を絞る。法人税率(実効税率約30%台)と個人の最高税率(住民税込みで約55%)の差を活かす、オーソドックスな節税設計です。
③ 収益不動産の減価償却を他の所得と通算
個人名義で収益不動産を持っている場合、減価償却費が大きければ不動産所得がマイナスになります。このマイナスを給与所得や事業所得と損益通算することで、課税所得全体を押し下げることができます。
たとえば減価償却で年間2,000万円の損失が出せる物件を持っていれば、住民税ベースだけで約200万円の削減効果になります。
「来年の自分」のために今動く
共通しているのは、どれも「今期の所得設計」が起点だという点です。決算が終わってから動いても間に合わないことが多い。
特に法人スキームを使ったものは、契約の時期や資金の流れに制約があります。「通知書が来てから考える」では遅すぎる。6月の今こそ、来年の住民税を下げるための仕込みを始める最適なタイミングです。
ただし、これらの手法は組み合わせ方や規模感によってリスクも変わります。特にオペレーティングリースは中途解約できないケースもあり、キャッシュフローへの影響を慎重に見る必要があります。
動き出すなら今期中に
毎年6月、同じ額の住民税通知書を見てため息をついているなら、今年はちょっと違うアクションをとってみてください。
まず自分の課税所得の内訳を顧問税理士と確認することから始めましょう。「どの所得がどれだけあるのか」を整理するだけで、どのアプローチが有効かが見えてきます。
手法そのものよりも、「動いたかどうか」が1年後の差をつくります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。