毎年6月になると、住民税の通知書が届きますよね。「また税金か」とため息をつきながら、そのまま引き出しに突っ込んでしまう社長さんが多いように思います。

でも実は、この通知書には非常に重要な情報が書かれています。それは「昨年、あなたがどれだけ節税に失敗したか」という記録です。

厳しい言い方をしましたが、これが現実です。

住民税通知書は「節税の成績表」

住民税の所得割は、前年の課税所得に対して約10%かかります。つまり、課税所得を2,000万円圧縮できていれば、住民税だけで200万円変わっていたことになります。

さらに法人実効税率(約34%)と合算して考えると、所得2,000万円の圧縮で節税できたはずの金額は680万円を超えます。通知書を見て「今年も高いな」と思うのは自由ですが、その感想で終わってしまうのはもったいない。

大事なのは「この金額は去年の結果であって、今年はまだ変えられる」という視点です。

年商10億超なら、使える手段が3つある

課税所得を大きく圧縮するための手法として、代表的なものを3つ挙げます。

役員退職金の設計

役員退職金は、適切に設計すれば数千万円規模の所得圧縮が可能です。単なる「退職金を払う」ではなく、最終報酬月額・在任年数・功績倍率の掛け算で税務上の合理的な金額を逆算する設計が必要です。早めに準備しておかないと、突然の退任や引退時に間に合わないことも多いので注意が必要です。

持株会社への配当所得シフト

オーナー個人が直接受け取る配当所得は、総合課税で最大55%近くの税率がかかります。一方、持株会社(ホールディングス)を経由すると、受取配当の益金不算入制度を活用でき、グループ内の資金循環にかかる税負担を大幅に下げることができます。グループ再編は専門家の設計が必須ですが、年商10億規模なら十分に検討価値があります。

不動産SPCによる減価償却の活用

不動産を個人で保有するのか、法人(SPC)で保有するのかによって、減価償却費の扱いが変わります。法人で保有すれば、減価償却費が損金として計上でき、課税所得を継続的に圧縮できます。特に築古の建物は償却年数が短く、初年度から大きな節税効果が出やすいのが特徴です。

今すぐ通知書を引っ張り出してください

住民税通知書には「総所得金額等」という欄があります。この数字が大きいほど、今年中に取れる節税アクションが残っている可能性が高いです。

たとえばこの数字が3,000万円を超えているなら、少なくとも1〜2個の節税手法がまだ未着手になっている可能性を疑ってみてください。逆にこの数字が500万円を切るなら、すでに節税が機能している証拠です。それはそれで自信を持っていい。

大事なのは、この数字を「見て終わり」にしないことです。

6月が節税の分岐点になる理由

住民税通知書が届く6月は、ちょうど前年の確定申告が終わり、今期の着地予測が固まり始める時期でもあります。つまり「今年の節税戦略を見直す」絶好のタイミングなんです。

決算が年内に控えているなら、今から設計を始めれば十分間に合います。役員退職金の積立、持株会社の設立検討、不動産投資の節税計算——いずれも、今動けば今期の節税に効かせられる可能性があります。

来年の6月に「また高い住民税通知が来た」と嘆かないために、今月中に通知書を持参して税理士に「この数字をどう下げるか」と相談してみてください。それだけで、具体的なロードマップが見えてくるはずです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。