先日、相談に来られた社長がこんなことをおっしゃっていました。「毎年の投資収益が増えてきたのに、半分近く税金で持っていかれる感じがして腑に落ちない」と。実際に試算してみると、その感覚はほぼ正確でした。
高額所得者が個人で投資収益を受け取ると、所得税と住民税を合わせた実効税率は最高55%に達します。運用資産が20億円で年間利回りが5%なら、毎年1億円の収益が生まれる計算です。そのうち5,500万円が税金として消える。これが10年続けば、累計5億円以上が手元から離れていきます。
個人と法人、23%の税率差が生む圧倒的な差
法人が投資収益を得た場合、実効税率はおよそ30〜32%程度です。個人の最高55%と比べると、その差は約23%。この23%がそのまま節税額として手元に残ります。
年間収益1億円なら2,300万円、10年では2億3,000万円。資産規模が大きく、運用期間が長くなるほど、この差は雪だるま式に膨らんでいきます。資産20億円の社長が投資会社を通じて10〜15年運用すると、累計5億円前後の節税も十分に現実的な数字です。
「受取配当の益金不算入制度」という隠れた武器
法人運用には、もうひとつ個人にはない強力な仕組みがあります。「受取配当の益金不算入制度」です。
法人が株式の配当を受け取る場合、その一部または全部を課税所得から除外できます。持株比率が3分の1超の場合は、実質的にほぼ非課税で配当を受け取れるケースもあります。個人では配当に対しても所得税がかかりますが、法人はこの恩恵を受けられる。設計次第で、さらに節税効果を上乗せできます。
設立は難しくないが、設計は慎重に
投資会社の設立自体は、通常の株式会社設立と手続きは同じです。定款の目的に「有価証券の取得・保有・管理」などを盛り込んで法人登記するだけです。
ただし、設立したから即節税できるわけではありません。法人には毎年の申告義務があり、社会保険料の負担も生じます。利益を個人に引き出す際には配当所得や役員報酬として課税されるため、「出口設計」が非常に重要です。
また、節税目的だけの実態のない法人は税務上のリスクがあります。実際に投資活動を行い、取引履歴や意思決定の記録をきちんと残すことが前提です。
こんな方に特に向いています
投資会社による節税が効果的なのは、すでに相当規模の金融資産を持ち、毎年の投資収益が大きい経営者です。資産の目安としては、運用資産が数億円以上になってから検討するのが現実的です。それ以下の規模だと、法人維持コストの方が節税メリットを上回ることもあります。
また、資産承継を視野に入れている方にも向いています。投資会社を通じた株式の保有や配当設計は、相続対策とも連動させやすい仕組みです。
「いつかやろう」では間に合わない理由
投資会社の設立は、決算期末ギリギリでは動けません。設立から実際の運用開始まで数ヶ月はかかりますし、税務上の整合性を保つためにも余裕が必要です。
毎年数千万円が税金として消えているなら、専門家への相談コストは微々たるものです。「設計が複雑だから」と後回しにしていると、その分だけ損をし続けます。まだ動いていないなら、今期の決算が終わる前に一度、資産管理に詳しい税理士に話を聞いてみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。