先日、年商8億円の製造業を営む社長から、こんな相談を受けました。「三原さん、うちでやってる不動産の節税、4月からダメになるって本当ですか?」その顔に、少し焦りの色が浮かんでいました。\n\n2026年の税制改正を前に、不動産節税が”全滅する”かのような情報が飛び交っています。確かに使えなくなった手法はあります。でも、全部アウトになったわけではありません。今日は「改正後も生き残った節税手法」をランキング形式でお伝えします。\n\n## 3位:中古不動産の超短期減価償却\n\n不動産節税の中でも、即効性が高いのがこの手法です。\n\n耐用年数が切れている、もしくは残り年数が極端に短い中古物件を購入すると、取得費を最短4年で全額経費化できます。木造なら築22年超、鉄骨であれば築34年超が目安です。\n\n1億円の物件を4年で均等償却すると、毎年2,500万円の経費計上が可能です。法人の実効税率を30%とすると年間750万円の節税、4年累計では3,000万円になります。数字にすると、その規模感が伝わるでしょうか。\n\nこの「耐用年数の計算ルール」自体は、2026年改正で変更されていません。ただし、物件選定を誤ると節税どころか損失になるケースもあります。購入前に税理士と償却計算を確認することが必須です。\n\n## 2位:法人での不動産保有\n\n「不動産は個人で持っている」という社長に、ぜひ考えてほしい選択肢です。\n\n個人の最高税率は住民税込みで55%。一方、法人の実効税率は約34%前後。この約21%の差が、毎年そのまま手元資金の差になります。\n\n不動産収益が年間500万円あるとしましょう。個人保有なら最大275万円が税金に消えます。法人保有なら約170万円。毎年100万円以上の差が生まれ、10年で1,000万円を超えます。\n\n「手続きが面倒で後回しにしている」という声はよく聞きます。でも後回しにした分だけ、コストが積み上がっています。特に相続を視野に入れ始めた50代以上の社長にとって、法人への移転は相続対策としても機能します。個人資産として持つより、法人株式として分散・承継しやすいという利点があるためです。\n\n## 1位:不動産SPC(特定目的会社)\n\n2026年以降、最も注目すべき手法がこれです。\n\nSPCとは「Special Purpose Company」—物件ごとに設立する特定目的会社のことです。一見複雑に聞こえますが、考え方はシンプルです。「物件ごとに法人を分けて、リスクも節税も出口戦略も、最初から一体で設計する」というものです。\n\nたとえば3棟の不動産を保有する場合、一つの法人に全部まとめるのではなく、棟ごとにSPCを分けることで、一棟に問題が起きても他のSPCへの影響を遮断できます。各法人の損益が明確になり、相続時には株式として分割・承継しやすくなります。さらに、売却タイミングを物件ごとに柔軟に設定できるため、出口戦略の自由度が格段に上がります。\n\n2026年の改正でも、このスキームへの制限は加わっていません。むしろ、他の手法が制限されたぶん、相対的な魅力が高まっています。\n\nただし設計の複雑さゆえに、「とりあえず作ればいい」という話ではありません。事業規模・資産構成・相続設計をセットで考えたうえで、専門家とともに設計することが前提です。\n\n## 「4月以降は手遅れ」は本当か?\n\n「4月以降はアウト」という情報、半分は正しく、半分は誤解です。\n\n確かに、一部の生命保険を活用した損金算入スキームや特定の節税商品は2026年改正で規制されました。それらに手を出していた場合は、早急に整理が必要です。一方、今日紹介した3つの手法は改正後も有効です。\n\n重要なのは「何が使えて、何が使えなくなったか」を自社ベースで整理することです。一般論ではなく、自分の資産規模・税率・出口設計に合った手法を選ぶことが大切です。\n\n情報が混乱している今こそ、自社の節税ポートフォリオを棚卸しするタイミングです。まだ不動産節税の方針が決まっていない方は、今期中に一度、顧問税理士と「うちに合った手法はどれか」を整理する機会を作ることをおすすめします。改正後の今なら、まだ十分に動けます。\n\n※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。