先日、知人の社長からこんなLINEが届きました。「3年前に始めたオペリース、今年が満期で……税理士から突然『2億の課税が来ます』と言われて頭が真っ白です」という内容でした。

参加を決めたときに聞いていたのは「年間5,000万円が損金になる節税スキーム」という説明だったはずです。それがなぜ、3年後に億単位の請求書に化けるのか——今日はその仕組みを正直にお話しします。

オペリースが年商10億超の社長に人気な理由

オペレーティングリースとは、航空会社や海運会社が使う航空機・船舶を、複数の投資家がSPC(特別目的会社)を通じてリースするスキームです。参加企業はそのリース料を損金として算入できます。

何がすごいかというと、支払ったリース料の最大100%が損金になる点です。たとえば5,000万円を投資した場合、実効税率30〜35%で計算すると、1,500〜1,750万円前後の法人税を圧縮できます。決算前に「今期の利益が出すぎた」というタイミングで紹介されると、確かに魅力的に映ります。

大手税理士法人から有名コンサルまで積極的に提案しているのも、それだけ効果が大きいからです。ただし、「効果が大きい」と「節税になる」は同じではありません。

「繰り延べ」は「消える」ではない

ここが核心です。オペリースで損金算入できた金額は、課税を「今ではなく将来に先送りしている」だけです。

リース期間が終わる(通常3〜5年後)と、繰り延べていた収益が一気に戻ってきます。航空機・船舶の売却益や残存価値の精算が「雑収入」として法人の益金に算入されるからです。

年間5,000万円の損金を3年間続けると、合計1億5,000万円が繰り延べられています。これが満期で一度に課税対象となった場合、税率30〜35%を乗じると4,500〜5,250万円の追加課税。大型スキームや複数参加なら、2億〜3億という数字も決して大げさではありません。

出口課税に対抗できる手法は2つある

「では詰んでいるのか」というと、そうではありません。対策は存在します。ただし、入口の段階で設計しておく必要があるのです。

退職金との相殺

オーナー社長が満期のタイミングに合わせて退職金を支給すると、退職所得控除による個人の節税と、法人側の損金算入が同時に機能します。リース満期で増えた益金を、退職金の損金で相殺できるわけです。「いつ退職するか」を3〜5年スパンで見据えていれば、これは有効な組み合わせになります。

次のリースへの組み換え(ロールオーバー)

満期が来る前に次のオペリースに乗り換え、再び損金を積み上げる方法です。課税を将来にずらし続けることはできます。ただし、最終的にはどこかで出口を迎えます。会社を承継するタイミングや、引退時に大きな出口課税がドカンと来ることになるため、長期的な設計が必要です。

いずれの方法も、参加を決める前に「満期のとき自分と会社はどういう状態か」をシミュレーションしていなければ使えません。3年後に慌てて探し始めても、選択肢は大幅に狭まります。

「節税できる」は入口の話だけ

よくあるのが、「今期の決算対策で何か良いものはないか」という相談から始まるケースです。そこでオペリースを紹介されると、「毎年これだけ損金になります」という試算だけを見て即決してしまう。

ですが本来は、「3年後・5年後に自分がどういう状況にあるか」まで見越して判断するものです。出口で同額以上を吐き出すなら、お金の時間的価値のメリットは多少ありますが、トータルで「節税になった」とは言いにくい。

すでに参加している社長は、まず「満期はいつか」「そのとき会社の利益はどれくらいか」「退職金の準備は整っているか」を今すぐ税理士と確認してください。まだ検討中なら、入口の説明だけでなく、出口時のキャッシュフローシミュレーションを資料として求めることを強くおすすめします。入口で聞かない限り、誰も自分から話してくれないことが多いのが現実です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。