先日、顧問先の社長からLINEが届きました。「今使っている節税、全部まだ使えますよね?」という一言でした。

確認してみると、3つのスキームのうち2つはすでに封じられていて、1つは申請済みだったので間一髪セーフ。でも、同じように「まだ大丈夫だと思っていた」という社長が全国にたくさんいるのが現状です。

2026年、節税の地図が大きく塗り替わっています。特に影響の大きい3つのスキームについて、順番にお伝えします。

第3位:オペレーティングリースの節税効果が激減

航空機や船舶などのオペレーティングリースを使った節税スキームをご存知でしょうか。数千万円規模の出資で初年度に大きな損失を作り、法人税を一時的に繰り延べる手法として、多くの高収益企業が活用してきました。

2025年4月以降、この手法に大きなブレーキがかかっています。令和7年度の税制改正で、匿名組合出資による損失の損益通算に制限がかかったからです。

簡単に言うと、「組合から生じた損失を、本業の利益と相殺できる金額に上限が設けられた」ということです。これにより、従来のような数千万円規模の節税効果は見込めなくなりました。

重要なのは、既存の契約には影響がないという点です。すでに出資しているものは従来通りの処理が続きます。ただし、新規で組み込もうと検討していた場合は、設計を根本から見直す必要があります。「今期の利益が大きいから新規で入ろう」と考えていた社長は、早急に担当税理士と確認してください。

第2位:一般社団法人を使った資産承継が事実上封鎖

「相続税ゼロで株式を移転できる」として一時期注目を集めた、一般社団法人を活用したスキームがあります。オーナー社長が保有する株式を一般社団法人に移し、相続対象から外すという手法です。

これが令和5年度の改正でほぼ完全に封じられました。

同族が実質的に支配している一般社団法人については、「相続が発生したとみなして課税する」制度が導入されたのです。以前は法人格を利用することで相続財産から切り離せていたのが、今では親族が役員の過半数を占めているだけで課税対象になります。

現在このスキームを使った提案を受けている場合は要注意です。改正を知らずに古い設計のまま提案してくるアドバイザーがいないとも限りません。「一般社団法人を使えば相続税が大幅に減らせる」という話が出たら、必ず最新の改正内容をふまえた説明を求めてください。

第1位:事業承継税制の特例措置——申請期限が2026年3月で終了

最も影響が大きいのが、これです。

事業承継税制の「特例措置」は、後継者が株式を引き継ぐ際の贈与税・相続税を最大100%猶予できるという、非常に強力な制度でした。従来の一般措置と比べて対象株数の上限がなく、複数の後継者にも対応できる、まさに中小企業オーナーのための特別ルールです。

この特例を使うには「特例承継計画」を都道府県に提出することが条件でした。その提出期限が2026年3月末で終了しています。

つまり、今この記事を読んでいる時点で、未申請の方はこの特例を利用できません。

ただし、申請済みの方には朗報があります。実際の贈与・相続による株式移転の期限は2027年12月末まで延びています。「申請だけして、まだ動いていない」という場合も、今から動けばまだ間に合います。

「うちは申請したかどうか覚えていない」という社長は、今すぐ顧問税理士に確認の電話を入れてください。申請の有無によって、取れる選択肢がまったく異なります。

使えなくなる前に、スキームを棚卸しする

3つを振り返ると、共通して言えることがあります。「以前は使えた」という情報が、今も正しいとは限らないということです。

税制は毎年変わります。数年前に税理士や保険担当者から提案を受けて組み込んだスキームが、気づかないうちに改正の対象になっていることも珍しくありません。

決算が近づいてから「実は使えなかった」では取り返しがつきません。年に一度、顧問税理士と「今のスキームは最新の税制に対応しているか」を確認する時間を設けることをおすすめします。特に事業承継を視野に入れているオーナー社長は、今期中に一度、設計の棚卸しをしておいてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。